「引っ張ってみろ、やってみろよ、という気持ち」――。新井貴浩監督はそう言って、今季の開幕を託した。歴代チームが頂に立つとき、それを支えたのは他を圧倒するエースであり、投手陣だった。先発ローテーションの中心となる大役は、背番号18が迎えた新たなステップ。理想像を追い求め、貪欲に前を見続けている。 取材・構成=相原礼以奈 写真=牛島寿人、井沢雄一郎 
今季は初の開幕投手を務め、球団の日本人投手で史上2番目の早さである116試合で通算50勝。真のエースへ階段を上る
開幕投手のシーズン
3月28日、6年目で満を持して立った開幕試合、阪神戦(マツダ広島)の先発マウンド。初回に2ラン本塁打を浴びるも、その後は安定した投球で点を与えず、7回4安打2失点とまとめた。しかし打線は4安打無得点に抑えられ、0対4で敗れて初黒星。登板のたびにエース級とマッチアップする「表ローテの頭」の立場を受け入れ、結果を求める。 ──今季は、初の開幕投手を任されました。あらためて、どのような気持ちで今季を迎えましたか。
森下 うれしい気持ちと、やらないといけないというか、強い気持ちを持って今シーズンやらないといけないなという思いになりました。こういうチャンスをいただいて、やらせてもらえたというのは良かったなと思います。
──本拠地での開幕戦のマウンドに上がったとき、雰囲気はどうでしたか。
森下 開幕する、そういう試合だなっていう雰囲気を感じました。でも、もういきなりホームランを打たれてしまったので……(1回表、阪神・
佐藤輝明の2ラン)。ゲームを壊しちゃいけないという気持ちを持ちながら、開幕戦を投げた感じですね。いい経験にはなったと思いますが、試合を重ねてきて、そういう(一度敗れた)同じチームとまた対戦する中で、そのチームには負けたくないなっていう気持ちでは投げています。
──(取材日の5月13日時点で)7試合に登板して3勝3敗、防御率2.29。どのように振り返りますか。
森下 毎試合、点数を取られているので、そういう部分を、最少失点で切り抜けるというか、ゼロで抑える試合を作りたいと思っています。
──6試合でクオリティースタート(先発して6回以上で3自責点以内)、5試合でハイクオリティースタート(同7回以上で2自責点以内)。状態は悪くないのではないでしょうか。
森下 でも毎回、2失点しているので。状態がいいというか、内容的にはあまり良くない試合もあるので、まだまだ……という感じですね。
──序盤戦で、手応えを感じたという試合はありましたか。
森下 いや、まだ、そう感じる試合はあまりないですね。
──4月18日の阪神戦(甲子園)では、通算50勝目を挙げました。
森下 気持ちとしては『やっと』というか。特にそこまで意識していなかったですが・・・
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