2024年、高校野球界は大きな一歩を踏み出した。低反発の金属バットに完全移行。春、夏の甲子園大会では前年よりも本塁打数が激減した。最大の目的は「選手の安全性」。飛ばないバットにより、野球も変わった。 取材・文=小中翔太 写真=牛島寿人 
高校野球は全国9地区で春の地区大会が開催されている。低反発の金属バットに完全移行して2年目。昨夏の甲子園は48試合で7本塁打だったが、今夏はどう推移していくのか
1980年代に魚雷バット
開幕シリーズ3試合で15本塁打。世界中からケタ外れの才能が集うメジャー・リーグにおいてヤンキース打撃陣がロケットスタートを切った。この豪打が注目を集めた理由は、驚異的な打撃成績だけではなかった。ポール・ゴールドシュミット、コディ・ベリンジャーらが手にする用具がいつもと違う。使用していたバットは、芯の部分から先端にかけて細くなる形状をしていた。
魚雷のような形をしたこのバットは「トルピードバット」と呼ばれ、従来のバットより芯が手元に近く、操作性に優れるという特徴がある。実は日本の高校野球でも1980年代にトルピードバットと同じく手元バランスで振り抜きやすいSSKの「ウイングフライト」が人気を博していたことがある。より飛ぶように、より扱いやすいようにと願うのはいつの時代も万国共通。ただし、成績向上とともに安全面も確保されなければならない。
各メーカーが開発競争
高校野球で金属バットが導入されたのは74年。その前年に・・・
この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。
まずは体験!登録後7日間無料
登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。
登録済みの方はこちらからログイン