2005年に前社長の柳瀬隆臣氏が創業して以来、木製バットの製造・販売を行っているヤナセインターナショナル。アマチュア界で高いシェアを誇り、プロでも阪神・近本光司やオリックス・福田周平が愛用していることでも知られる。バット一本一本、丁寧な工程が継がれている。 取材・文=大平明 写真=BBM 
創業者・柳瀬隆臣氏のこだわりが、次の世代にも継承されている。左は息子である管理統括部・柳瀬翔さん、右は企画生産チーフ・野村春樹さん
丸太の状態から買い付け
バットの製造は木の伐採から始まり、7センチ角の角材にカットする「製材」。良い状態を長く保たせるための「乾燥」。角材を円柱状にする「丸棒加工」。木材は自然物のため、同じ体積でも重さが違うため「選別」をし、バットの形にする「削り」の工程を経て、最後に湿気対策と個人の好みに合わせた「塗装」をして完成する。
ヤナセの最大の強みは、丸太の状態から買い付けをしていることだ。企画生産チーフの野村春樹さんは「多くのメーカーは丸棒の状態で買い付けていますが、それぞれにグレードが付けられていて、高いグレードのものは品質が良い分、コストもかかります。でも、ヤナセでは丸太から買い付けるので『ここをこう切って丸棒にしたら良いバットができる』と見極めてからカットをすることで、品質の高い材をそろえることができるんです。もちろん、グレードが低い部分もありますが、そこは練習用のバットやノックバットにしているので、無駄もありません」。
選手の感覚を数値化
2022年11月に他界した柳瀬前社長の「プロだけでなく、アマチュア選手にも高品質のバットを使ってもらいたい」という思いを、高品質の定番化によって実現させている。もちろん、丸太の皮を見るだけで成長のクセを判断して買い付けるには目利きとしての経験が必要だ。その知識や技術はもともと、木材を扱うプロだった柳瀬前社長から中国の工場長を経由し、現在は柳瀬前社長の実子で、管理統括部・柳瀬翔さんへと「匠の技」が引き継がれている。
「良いバットをつくるための一番の生命線が、材なので、中国の工場長に先生役になってもらい、一から教えてもらっています」。そして・・・
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