現役時代の活躍はあらためて説明するまでもないだろう。長打力があり、アベレージも残した左右のスラッガー。そのバットで何度もチームを勝利へ、そして優勝へと導いた。両リーグで活躍した2人がバットへの想いを語り合う。(※文中敬称略) 構成=前田恵 写真=阿部卓功、BBM “見た目”は重要
──「バットは手の延長線」という表現を聞きますが、お二人にとってバットはどんな存在でしたか?
和田 とにかく遠くに飛ばすための道具。遠くへ飛ばすことにかけては、誰にも負けたくなかったんだけど、自分の力だけでは外国人選手に到底かなわない。だから「飛ばせるバットを使いたい」というのが大前提なんです。そのバットをいかに使って速い打球を打ち、遠くへ飛ばすか。そこに特化して作りました。
小笠原 “打つ道具”ではあるんですよ。だけどバッティングにおいては「腕と一体になってつながっているような感覚」とか、「体の一部みたいな感覚」で振るように、人に対して指導するときも伝えていますね。それだけバットにも神経が通っているような感じで使う、ということです。
──バットの材質は、なんでしたか?
和田 僕は長らくホワイトアッシュを使っていました。一般的にホワイトアッシュは割れやすいとされていましたが、ミズノのホワイトアッシュは目の詰まったいい木を使っていたので、30試合ぐらい使っても割れなかったんです。
小笠原 僕はアオダモですね。当時の主流(の材質)で、「いい」と言われていたので、そのまま使い始めました(笑)。
和田 2015年(ともに中日で15年引退)まで、アオダモがあった? もう(アオダモが)なくなるって言われていた時代だよね。
小笠原 そう。だから自分は試合でしか使わなかったです。
和田 僕も練習ではアオダモを使っていたんだけど、ホワイトアッシュで打ったときの「カーン!」っていう高い音が好きだったんだよね。若干ボールの跡が付くし、「硬い」とも言われるんだけど、すごく“引っ付く”感覚がある。
小笠原 “乗る”というかね。
和田 そうそう。ホワイトアッシュのほうが“噛みやすい”感覚があった。みんなアオダモのほうが「しなる」って言うんだけど、僕はあまりそれが分からなかった。そういえば、昔は木目のきめ細かいほうがいいとされていたけれど、途中から木目の大きな若い木のほうが柔らかいから「しなる」って言われ始めたね。
小笠原 木目が太くて、うねっている木のほうが強い、とか。
和田 その人の好みもあるからね。僕は細かく縦のラインがきれいに入った木目が好きだった。「木がカッコいい」でしょ。
小笠原 もう、この“見た目”でね。
和田 パッと見て「うわあ、キレイな木だな」って思う木が好きだった。目をつぶって打ってみて、どっちの木が若いとか明らかには分からないし。木目の太いほうが実際に強いかどうかも定かじゃないんだけどね。これは正直、本当に好み。
小笠原 派手好きな人もいれば、地味好きな人もいるみたいなもんですよね。
和田 あと、白い木が好きなんだ(笑)。
小笠原 やっぱり真っ白がいいですよね。使い込んで色が変わってくると・・・
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