週刊ベースボールONLINE

2025 プロ野球中間記録室

<SPECIAL INTERVIEW>巨人・山崎伊織 指揮官の金言「1イニング1イニングを抑えた結果が長く続いただけ」

 

“記録インタビュー”の2人目は、いまやジャイアンツの先発ローテーションをけん引する存在となった右腕の登場だ。セ・リーグ記録を更新する快投の連続も、ゼロを積み重ねていった結果、通過点に過ぎない。
取材・構成=杉浦多夢 写真=桜井ひとし、川口洋邦
※記録・情報は6月12日現在



フォークの改良


 オープン戦では不調にあえぎ、開幕先発ローテーション入りさえ危ぶまれていた。だが、指揮官のひと言で復調のきっかけをつかむと、2年連続2ケタ勝利の右腕は突如としてよみがえり、苦しんでいたのがウソのような快進撃。セ・リーグ記録を塗り替える開幕から36イニング連続無失点を達成した。

──開幕から36イニング連続無失点という記録をあらためて、客観的に振り返っていただけますか。

山崎伊 もちろん自分自身、ここまで順調に来ているなとは思います。ただスタートが悪かった試合もありますし、1イニング1イニングを抑えた結果が長く続いたなと感じるだけで、大きな達成感があるわけではないですね。記録を更新したと言っても、例えばノーヒットノーランのように1試合を1人で抑え切って表彰されたわけではないですし、「開幕から」というのを外せば、もっと長く無失点だった記録があるんですよね。そういう意味でも、目の前のイニングを重ねた結果、ゼロが続いたという感じです。

──それでは記録継続にあたってのターニングポイントになった試合や場面があったわけではないのですね。

山崎伊 開幕してからよりも、開幕前に二軍で投げたときですね(3月26日のイースタン・オイシックス戦、Gタウン)。なかなか調子が上がらない中で、赤星(赤星優志)か僕のどちらかが開幕先発ローテに入るということで、(阿部慎之助)監督が見に来てくださったんです。試合前には僕の先発ローテ入りを決めてくださっていたらしいんですけど、そのとき監督から「落ちるボールがもうちょっと良くならないとしんどいんじゃない」と言っていただいたので。そこじゃないですかね、ターニングポイントは。

──そこからシーズン開幕に向けてフォークの改良に取り組んだのですか。

山崎伊 昨年の12月くらいからフォークは握りの意識も含めて頑張って取り組んでいたんですけど。自分でも「いいな」と思っていた時期もありますし、長く取り組んできたものを変える、いったん置いておいて新しいものに変えるって難しいじゃないですか。それでも監督にそう言っていただいたんで、スッと変える方向に持っていくことができました。

──具体的にはどんな改良を施したのでしょうか。

山崎伊 意識としてはもう少し真っすぐに近く、スピードを上げて、その上でゾーンに乗せるボールと、意識して低く投げることで空振りを取れるボールとを投げ分けるようにしました。スピードを上げることでゾーンに投げるのも怖くなくなりましたし、スピードが上がった分、バッターの反応も良くなりました。

──スプリットに近いイメージなのでしょうか。内海哲也投手コーチのアドバイスもあったと聞きます。

山崎伊 監督からは「もうちょっとシュート気味に落としてみたら」とか「小さく落としたら」という話はしてもらったんですけど・・・

この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。

まずは体験!登録後7日間無料

登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。

特集記事

特集記事

著名選手から知る人ぞ知る選手まで多様なラインナップでお届けするインビューや対談、掘り下げ記事。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング