冷静沈着な司令塔だ。12球団NO.1投手陣の正捕手として、首位独走に大きく貢献している。守備だけでなく、勝負強い打撃で下位打線を引っ張り、強力打線の一角をなしている。だが本人は満足していない。常に周囲に気を配りながら、チームの勝利、優勝に向けて最善を尽くす。 文=柏原誠(日刊スポーツ) 写真=BBM 
捕手として巧みなリードで最強の投手陣をつくり上げている
坂本誠志郎が吠えていた。8月9日の
ヤクルト戦(京セラドーム)で中前打。何の変哲もないヒットのはずが、一塁に走りながら、声にならない声を上げた。ベンチもそれに呼応するかのように興奮気味に坂本にアクションを送る。いつも冷静で、クレバーで、いかにも司令塔――。そんな男には少し似つかわしくないシーンに見えた。
モヤモヤがたまっていた。7日の
中日戦でプロ初の1試合2捕逸をおかした。
伊原陵人、木下里都の両ルーキーの普通のスライダーを後ろにそらし、ともに失点に直結。信じがたい失態に「僕のせいで負けました」と口を震わせた。翌8日は4打席連続の三振。途中交代を告げられた。レギュラー捕手としての葛藤や責任感がないまぜとなって発出した、あの咆哮(ほうこう)だった。優勝への長い道のりで、こんな苦悩も必要だったのかもしれない。
それだけ今年の坂本は高次元の働きをキープしている。
阪神の快進撃を語るとき、ファンの間ではMVP論争が盛り上がる。順当なら
佐藤輝明だろうが「坂本が陰のMVP」という論調にも異論が起こらない。昨オフ・・・
この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。
まずは体験!登録後7日間無料
登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。
登録済みの方はこちらからログイン