前回王者で大会連覇に挑むチームに元プロ野球選手がいる。オリックス、中日で9年間プレーし、社会人野球の世界へ。31歳のベテラン、中軸打者としてチームを支えている。勝利に向かって全力を尽くす、熱い日々を過ごしている。 取材・文=小林篤 写真=阿部卓功、矢野寿明 
三菱重工East・武田健吾[元中日ほか/外野手]
太陽に負けない笑顔が素敵だ。三菱重工Eastの武田健吾は白い歯を見せて言う。
「真っすぐ青春。今は熱く、楽しく生きています」 元プロ野球選手。2013年から9年間はNPBの世界に身を置き戦った。オリックスからトレード加入した中日で移籍3年目を迎えた21年、戦力外通告を受けて退団。22年から三菱重工Eastに加入した。昨年はチーム創部初の都市対抗優勝を経験。五番・中堅として全試合に出場し1本塁打、打率.412。2大会連続での優秀選手賞に選ばれる活躍を見せた。
今季4年目。神奈川県横浜市にある三菱重工金沢総合グラウンドで練習に励む日々だ。すぐそばには東京湾。浜風が強く吹く環境で、打って守って走る。
「うちのチームは全力疾走を怠ったらすごく怒られる。プロなら約140試合すべてを全力は難しいですが、ここでは全員が全力疾走です」。フライが上がっても二塁まで走る。30歳を超えたベテランでも同じ。そこに年齢の差は関係ない。
社会人野球は都市対抗、日本選手権の2大大会こそトーナメント制だが、JABA(日本野球連盟)大会などは主にリーグ戦+決勝トーナメントの形式が採用されている。プロ野球とは違う短期決戦の連続だ。リーグ戦で1回でも負けてしまうと、決勝トーナメント進出が厳しくなる。
「聞いてはいましたが、本当に負けたら終わりなんだと思って」 1年目の4月に出場したJABA四国大会は決勝進出も日本通運に0対8の大敗。首位打者こそ獲得したが、レベルの高さを痛感した。同年の都市対抗は西関東予選で東芝、ENEOSに敗れて本戦出場を逃した。
「プロなら『次の出番で絶対に取り返す』と思って練習しますが、社会人にはそれがない。チームが負けたらそこで終わりという緊張感がプロとは違います」 オリックス、中日時代は・・・
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