シーズンが始まった時点で、この男がMVPに輝くとは誰も想像できなかった。前年まで一軍未勝利の大卒3年目右腕。一瞬のチャンスをつかんで快進撃が始まった。 文=波部俊之介(日刊スポーツ) 写真=BBM
※成績は9月11日現在 
23年4月12日の巨人戦[東京ドーム]で7回パーフェクトの投球を見せた村上
7回完全ピッチング
18年ぶりのリーグ優勝、38年ぶりの日本一に欠かせなかった男の快進撃は、与えられた1試合のチャンスから始まった。2023年4月12日の巨人戦(東京ドーム)。
村上頌樹にとって2年ぶりの一軍戦先発となった登板だ。前年までプロ未勝利の右腕がセ・リーグMVPを獲得することを、このときはまだ誰も予想できるはずがなかった。
「目の前だけを考えていた」
一つひとつのアウトを積み重ね、7回まで完全投球。回を追うごとに一つのアウトへの歓声は大きくなっていった。しかし球場がざわつく中、1点リードを保ったままベンチは8回に交代を決断。偉業達成とはならなかったが、敵味方関係なく周囲の度肝を抜く84球だった。
のちに村上はこう振り返っている。
「まさかあんなに長いイニングを投げられるとは思っていなかったですし・・・
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