ドライチの称号は毎年12人にしか与えられない。球団からの最大級の評価であり、選手にはこれ以上ない名誉だろう。
取材・文=相原礼以奈　写真=桜井ひとし

“昭和のガキ大将”がドライチ孝行息子に

　運命の抽選の瞬間も、ロッテがその交渉権を獲得した後も、感情を顔に出すことはなかった。12球団から調査書が届いた高校No.1右腕の胸にあったのは、このときも、自己をコントロールする意識。指名後の会見では、「いつも監督さんから表情に出し過ぎるなっていうのは言われていたので、なるべく感情を抑え込んでいました」と、メンタルの状態を保つ日ごろの教えを忘れなかったことを明かした。

　入学時から高め合ってきた左腕・佐藤龍月(オリックス3位)とともに迎えた運命の日。指名を受けた後、「龍月がいなかったら、自分もここまで成長できなかったと思う。本当にありがとう」とあらためて感謝を伝える場面もあった。

　北海道登別市で生まれ育った、4人きょうだいの三男。父・和人さんいわく・・・