ウエーバー方式で指名されたドラフト2位の選手。各球団の最高評価は得られなかったものの、1位に匹敵するだけの実力者たちばかりなのは間違いない。もっとも入団後は順位など関係ない実力の世界。
取材・文=松井裕一　写真=矢野寿明


「一人で部屋の中で中継を見ていました。(指名を受けて)同期たちが部屋に来てくれて、ワーワーと喜んでいる最中に田和(田和廉の指名)の名前が呼ばれたので、みんな何が起きたのか分からない感じで大騒ぎでした(笑)」

「『樹、おめでとう！』と言った瞬間だったので、はじめのほうは本当に理解ができなくて、頭の中が真っ白になりました(笑)」

　会議開始から約1時間後。伊藤樹は楽天から2位指名を受けた。直後の巨人の2位指名が田和廉だった。

「樹へのライバル意識は、そこまで持っていないのが本音です。中学時代からスーパースターで、ずっと見てきました。大学に入学し、一緒に野球ができるという喜びが一番にありました。『本物だ』と思ったぐらいあこがれの存在だったので、少しでも近づけるように努力をしてきた4年間だったと思います」。思ってもいなかったという2位指名もあり、記者会見で終始笑顔の田和は、伊藤への素直な気持ちを語った。

　その伊藤は、仙南東小時代は楽天ジュニアに選出され・・・