
南海、ダイエー時代を含め、日本シリーズでは4度目となった虎鷹対決だったが、またも日本一には届かなかった
慌ただしく取材をする中、外国人の家族を見つけて奥様に「コングラチュレーション!」と声を掛け、「サンキュー」と言いながらハイタッチを交わした。頭の中に応援歌「シェルドン! シェルドン!」がリフレインした。
あれから2年が経ち、今年は敗者としての取材。「8」「4」「6」「7」。2年前日本シリーズで4勝を挙げたときの得点である。今年は初戦の「2」の1勝のみ。負けた4試合は「1」「1」「2」「2」と点が奪えなかった。
ソフトバンクの投手陣が強力ということもあるのだが、2年前の
オリックス投手陣が弱いというわけでもなく、当時もかなり強力で個性的な面々と対峙していた。
今回、本塁打は「0」。2年前は「2」。ここはさほど変わらない。しかし、「2」本塁打は同じ打者が放っている。それが五、六番を打った
シェルドン・ノイジー。第7戦の4回、オリックスの先発、
宮城大弥からの先制3ラン。いまでも鮮明に覚えている。第一声は「まさか!」で日本一に導いた一発だった。
今回の日本シリーズでの
阪神打線にこの「まさか」を演出できる打者は見つからなかった。そう言えばもう一つ「恐怖の八番打者」もいた。
木浪聖也だ。打率は高くはなかったが、チャンスに強く、なぜか一番・
近本光司にチャンスを回す打撃をしていた。当時はノイジーを含め、下位打線に「意外性」を期待できる雰囲気があった。
今回は、下位打線にこの「意外性」の打者がほぼいなかった。ペナントレースを独走し、連勝を重ねる中で多くの若手を起用しチャンスを与え、
小幡竜平、
高寺望夢、
中川勇斗などの若手が育ってきた。
つまり一〜五番が固定され、黄金期に入ってはいるが、一方で若手を育てながら勝っているのが現在の阪神。ドラフト戦略の見直しが功を奏している形だ。ここに「ノイジー」のような意外性の一発のある和製大砲の強化が必要であることを思い知らされた。
つまりまだまだ阪神は黄金期に向かう途中とも言える。ソフトバンクで言えば、現在の監督、
小久保裕紀や
城島健司などがいたダイエー時代に近い。ホークスはここで土台がつくられ、勝ちながら世代交代を進めて常勝球団になった。そして現在、一発が打てる
野村勇、首位打者の
牧原大成が下位打線にいる。
今後、下位打線で意外性の大砲「ノイジー」のような日本人打者が現れたとき、真の黄金期が完成し、3度目の日本一を手に入れるはずだ。(文=椎屋博幸[阪神担当])