東北楽天の初の日本一で幕を閉じた2013年のプロ野球だが、12球団にはそれぞれ隠されたドラマがあった。 1年間、各球団を追い続けた担当記者の取材ノートには、誌面に出すことのできなかったメモが大量に残っている。 “喜び”“怒り”、そして“涙”……。暮れも押し迫ってきたこの時期、担当記者の取材ノートから、とっておきの話を公開しよう。 【秘話01】 東北楽天ゴールデンイーグルス チームの雰囲気を変えた闘将の一言 楽天ベンチには、逆王手をかけられた悲壮感など、かけらもなかった。日本シリーズ第6戦(Kスタ宮城)を絶対的エース・
田中将大で落とし、迎えた11月3日、第7戦(同)。
美馬学、
則本昂大から、田中にバトンを渡し、球団初の日本一に輝いた。
勝敗を分けたのは、
星野仙一監督の一言だった。第6戦を終えた直後のミーティングに、指揮官自ら足を運んだ。「田中の連勝を、みんなで支えたから今がある。7戦まで来たのだから、俺は明日どうなってもいい。でも、ここまで戦ってきたのだから、うれし涙を流させてくれよ。そのためには明日の朝までに田中の負けは忘れよう」。ナインの心は奮い立った。
闘将の一言がチームの雰囲気を変えたのは、一度だけではない。リーグ優勝を確かなものにした1試合がある。8月23日の
ロッテ戦(Kスタ宮城)だ。今季ワーストの5連敗を喫し、2位・ロッテと2.5ゲーム差まで接近されたが、直後の直接対決3連戦で3連勝。結局、初戦のマウンドに立った田中が連敗をストップさせたのだが、前夜の試合後、指揮官は「こういう状況でプレーしていることを・・・
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