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好調赤ヘルの要因を探る!

“コイの季節”はどこまで続く!?

 

4月6日現在、広島は開幕から3カードを消化して6勝2敗。対戦した全カードで勝ち越し、セ・リーグの首位タイに立っている。
投打の歯車が見事にかみ合い悲願のVへ好スタートを切ったが、果たして、好調の要因はどこにあるのか。
また、赤ヘル軍団の勢いはどこまで続くのだろうか。開幕からの戦いぶりを振り返りながら、今後の行方を探っていこう。


▲4月4日のDeNA戦[マツダ広島]でサヨナラ弾を放った梵[6番]を迎えるカープナイン。競争心と一体感が生まれつつあり、チームの士気は日に日に高まっている]



指揮官が強調する2点

 開幕5日前の3月23日、報道陣に衝撃が走った。ブライアン・バリントンがオープン戦・ソフトバンク戦(マツダ広島)で5回途中8失点と大炎上。試合後、野村謙二郎監督が「この状態で(先発ローテに)入れた方がいいのか。ちょっと待てよ、というのがある」と開幕ローテ剥奪の可能性を示唆したのだ。

 確かに前回登板の16日・ロッテ戦(QVCマリン)でも5回途中9失点と打ち込まれていた。ただ、バリントンは来日3年間で計31勝を挙げている実績がある。先発3本柱の1人に、しかも開幕直前にローテ剥奪を言い渡せば超異例だった。結局、指揮官は投手コーチと話し合い、開幕ローテに残すことを決断した。一方でナインは1つの事実を脳裏に焼き付けたことだろう。完全競争社会に特例は認められない、と。

 就任5年目を迎える野村監督はオフから事あるごとに、次の2点を強調してきた。「一、二軍のチーム全員で戦うから、全員がモチベーションを保っておいてほしい」、「状態が良い選手を使っていく」。例外を認めないことを知らしめる意味では、“バリントン問題”は効果的だったと言える。レギュラー選手が気を引き締め、控え選手、二軍選手は虎こ視し眈たんたん々と出番を狙う環境が完全に整った。

 3月28日、開幕の中日戦(ナゴヤドーム)はいきなり指揮官の理想が実現した。2対2で迎えた延長10回、二番・菊池涼介が決勝二塁打。この勝ち越し劇を小窪哲也が導いたことに意味がある。一死から代打で登場し、中日のクローザー・岩瀬仁紀の外角スライダーを右中間二塁打。「いつも練習しているイメージで打てた」と、控え選手が全員野球を体現したことで、チームの方向性に間違いがないことを証明したのだ。

 翌29日、小窪は「七番・三塁」で先発した。開幕戦に三塁で先発した堂林翔太が4打数無安打3三振と振るわなかったこともあり、首脳陣は「調子が良い選手を使う」方針を貫いた。小窪は3打数無安打に終わったが、チームの規律はしっかり保たれたわけだ。ちなみに開幕2戦目は左腕・大野雄大に対し、「三番・右翼」の開幕戦で5打数1安打だった松山竜平からベテラン・廣瀬純に変更。この選択も全員野球の一端だった。

▲3月29日の開幕戦[対中日、ナゴヤドーム]、延長10回に代打起用され二塁打を放った小窪。途中出場ながらしっかりと仕事を果たした



チーム力を底上げする競争

 開幕2戦目から5戦連続スタメン落ちした堂林は開幕直前、冷静な口調でこう話していた。「オープン戦で・・・

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