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“キューバ第三の至宝” デスパイネが来日

 

2013年9月のキューバ政府による国内選手の一部国への契約解禁を受け、今季、NPBにはキューバ選手の来日ブームが到来。後半戦へ向け、ロッテが新キューバ選手獲得を発表した。
文=吉見淳司

▲13年WBCでの日本戦では、広島今村猛から3ランを放った[写真=湯浅芳昭]



実力、実績は十分も実働期間の短さに不安

 巨人・セペダ、DeNA・グリエルと2013年WBCキューバ代表野手が次々と日本球団に加入している今シーズン。ここまで、トレードも新外国人獲得もなかったロッテが後半戦を前に、大きく動いた。

 7月15日にキューバ国内リーグ記録となるシーズン36本塁打、最多タイ記録の3度のMVPの実績を持ち、通算220本塁打を誇る右の大砲、アルフレド・デスパイネ外野手の獲得を発表。前半戦終了時点で打率.253(リーグ4位)、55本塁打(同5位)、334得点(同3位タイ)と苦戦する打線強化に乗り出したのだ。

 キューバから16日に帰国した林信平球団本部長は、「確定的ではないが、なるべく早く来日できるようにしたい」と発言。その言葉どおり、24日に来日し、QVCマリンで記者会見を行う予定だ。早ければ7月29日の日本ハム戦(QVCマリン)がデビューとなりそうだが、時差や気候への順応、3月に終了したキューバ国内リーグからのブランクなどもあり、8月にずれ込む可能性もある。

 ロッテ・伊東勤監督は「(ポジションは)外野か指名打者。長打力が欠けているし、軸にはまってくれれば」と、今季すでに8人を起用し、固定できていない四番としての起用を示唆。13年WBCの日本戦では1本塁打を含む4打数2安打3打点と爆発。大会を通じても6試合で3本塁打、8打点、打率.389と対応力の高さを示しており、実力発揮となれば強力な助っ人となりそうだ。

 だが、気がかりなのはやはりプレー期間の短さ。仮に29日の日本ハム戦でデビューできたとしても、レギュラーシーズン出場は最大で54試合。前半戦終了時点で首位・オリックスには11.5ゲーム差、CS圏内の3位・日本ハムとも5ゲーム差のチームにとってどこまでプラスとなるか。

 デスパイネの年俸は7000万円で、1億5000万円のセペダ、1億円のグリエルと比べると金額は低いが(いずれも金額は推定)、実際に“お買い得”と言えるかどうかは未知数だ。さらに契約は今季限りで、来季のプレーも確約には至っていないとあって、合格点にはよほどの活躍が必要となりそうだ。

 とはいえ、キューバトップクラスの選手の来日には期待が高まる。さらに獲得が発表された翌日のソフトバンク戦(QVCマリン)では、「助っ人なぞ不要!」とばかりに、チームは16安打を放ち、13対0と圧勝した。打線の発奮も“デスパイネ効果”の一つだとすれば、単なる個人成績以上の上積みが期待できるかもしれない。

[デスパイネのコメント]
「日本でプレーできることをうれしく思う。日本人は行儀が良く親切で、素晴らしい野球をする。チームをなによりも大切にし、練習をよくする。とてもレベルが高いことはWBCで見せ付けられた。セペタ、グリエルは友人であり、代表チームのチームメート。人間的に素晴らしい。日本で再会できるのを楽しみにしているよ。今はとにかくマリーンズの勝利に貢献できるように頑張りたい」

PROFILE
生年月日:1986年6月17日生(28歳)
出身地:キューバ・サンティアーゴ・デ・クーバ州
身長体重:175cm/95kg
投打:右投右打
ポジション:外野手
経歴:マニュエル・ファハルド・キューバ国立体育大-アラサネス・デ・グランマ(2004〜2014)
2013-14成績:59試合 12本塁打 41打点 打率.311
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