週刊ベースボールONLINE


 

Photos by Yuka Takahara
ラストダンス

 稲葉らしい、さわやかで潔い引退会見だった。2014年9月2日、札幌ドーム。約200人以上の報道陣が大挙してつめかけた会見の席で稲葉に涙はなかった。晴ればれとした表情で「全力でやってきた20年間でした。僕の中で悔いはまったくありません」。その言葉に一切の偽りはなかったと思う。

 当時の野村克也監督に才能を見い出され、95年にヤクルトからプロキャリアをスタート。決してエリートではなかったが、入団当初から“練習の虫”としてひたむきにバットを振り続け、今日の稲葉篤紀を築き上げてきた。その姿勢は05年にファイターズに移籍してからも何も変わらず、キャンプでの全体練習終了後に居残ってのロングティーを黙々と繰り返す姿にどれだけの若手が感化されてきたことだろう。

 自身の代名詞にもなった「全力疾走」。まさにどんなときも体現し続けた20年だった。そんな男のラストダンス。「シーズンはまだ終わってない。もう一度みんなと喜びを分かち合いたい」。最高の形で有終の美を飾るため、背番号41が変わることのないモットーの全力疾走で現役ラストイヤーを駆け抜ける。

1972年8月3日生まれ。愛知県出身。185cm94kg。中京高-法大-ヤクルト95 ドラフト3位-日本ハム05。内野手。背番号41


※野村克也元監督が稲葉選手について語ったコラムはコチラ

稲葉篤紀引退記念号 9月13日発売!


今シーズン限りで20年に及んだプロ野球人生にピリオドを打つことを決めた稲葉篤紀。その輝かしい軌跡を余すところなく詰め込んだ『引退記念号』が9月13 日に発売になります。20年の思いを語り尽くした必見のラストインタビューをはじめ、本邦初公開の秘蔵写真も満載で背番号41が刻んだ歴史を振り返ります。価格は特別付録の両面ポスター付きで760円(税込み)。ぜひお買い求めください。
HOT TOPICS

HOT TOPICS

球界の気になる動きを週刊ベースボール編集部がピックアップ。

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング