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輝け!日本人メジャー

青木宣親 本当の戦いへの喜び

 

初のプレーオフの緊張感や充実感を味わいながらプレーする青木。本当の戦いの喜びを噛み締めているようだ



 ワイルドカード1位のロイヤルズが快進撃を続けている。29年ぶりに出場したプレーオフでは、アスレチックスと戦った一発勝負のワイルドカードゲームに勝利。地区シリーズにコマを進めれば、ア・リーグ勝率1位のエンゼルスを相手に敵地で3連勝し、撃破。9月に入って急速にチーム力を高めたロイヤルズだが、「二番・右翼」が定位置となった青木宣親は、間違いなくその躍進を支えるキーマンの1人だ。

 9月15〜17日のホワイトソックス3連戦では13打数11安打と大爆発した。それまでは、打席で感じのよさを抱きつつも、何か1つ突き抜けられず、本人ももどかしさを隠せない様子だったが、そのうっぷんを晴らすかのように打ちまくった。9月初めに.266だった打率も、終わって見れば.285に浮上。何よりも、ヒット1本欲しい場面、犠牲フライ1つで得点できる場面で、青木はことごとくその期待に応え、チームからの信頼をさらに厚いものとした。

 青木は大事な場面で何かしてくれる─。プレーオフに入ってからも、その期待を裏切らなかった。負けたら終わり、というワイルドカードゲームでは、1点を追う9回裏にライトへ同点の犠牲フライを放ち、チームの命をつないだ。地区シリーズ第1戦では、ガッツあふれる守備で貢献。慣れない敵地での打球の変化に戸惑いながらも、文字どおり右翼を縦横無尽に駆け巡りながら打球をもぎ取り、勝ち越されてしまいそうな場面での失点を防いだ。

 プロ生活10年を超すベテランでも、1戦1戦勝利するたびに表情はたくましさを増す。結果が伴うだけに「一気に流れを変えられるようなプレーをやっていきたい」という言葉も威勢のよさだけでは収まらない。「競った状況だと勝てそうな気がする。今は負ける気がしない。本当にチームが一丸となってやっている感じがするし、すごく充実していますね」と語る目は、野球を心から楽しむ少年の目に近い。

 90年代に圧倒的強さを誇ったブレーブスの面々は「プレーオフからが本当の戦い」と言ったそうだ。

 メジャー3年目で味わう本当の戦いの喜びを青木は全身で噛み締めている。

文=佐藤直子 写真=AP
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