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2014 SUZUKI 日米野球

侍ジャパン 強化合宿の様子をレポート!

 

11月12日の「2014 SUZUKI 日米野球」開幕を前に、小久保裕紀監督率いる侍ジャパン・トップチームが8日、福岡に集結。2017年、第4回WBCに向けた重要な強化の場と位置付けるMLBオールスターチームとの対戦を前にした強化合宿をリポートする。

▲小久保裕紀監督



独特の緊張感


 巨人にはV9時代に始まったとされる、定刻30分前に選手、スタッフが集結する暗黙のルール“ジャイアンツタイム”が存在する。ルーキーや移籍選手はその洗礼を受けるのだが、そんなGタイムも真っ青の、“ジャパンタイム”で11月9日、代表初練習はスタートした。

 午後1時開始予定を1時間前倒しして行われ、独特の緊張感の中、全選手が約2時間の調整。今回の日米野球で延長10回から適用されるタイブレーク(無死一、二塁から)を強く意識した投内連係を最初のメニューとしたところに、小久保裕紀監督の勝利への執念が見てとれた。

「(タイブレーク)対策として、(守備面での)サインプレーだけはしっかり合わせていこう、ということで取り入れました。準備できることはしておく必要があります」

▲11月9日、タイブレーク対策として無死一、二塁からのサインプレーを入念に行った。写真はそのサインを確認するバッテリー(先発投手陣は除く)と内野陣



 投手には80球の球数制限もあることから、延長を投げる可能性の極めて低い先発候補たちを外し、第2先発とリリーフ候補のみマウンドに上げるなど、より実戦に近づけることで、チームに緊張感を持たせることにも成功したといえる。

 以降は軽めの調整となったが、それでも目を引いたのが中軸2人の打撃練習ではなかったか。かねてから四番固定を明言されている中田翔と、一番起用が確定している柳田悠岐が並んで豪快なスイング。互いに意識したのか、中田は28球中3本、柳田は30球中3本のサク越えを放ち、ケージの後ろで静かに見守った小久保監督をうなずかせた。代表メンバーの動きは総じて良く、指揮官も「前もって伝えていた部分もあり、みなよく動けていましたね」とひとまずは安堵の表情を見せた。

 前日の全体ミーティングでは、全選手、スタッフを前に、あらためて「2017年のWBC世界一奪回」を訴えるとともに、嶋基宏を主将に指名した。昨年11月の台湾代表との強化試合&遠征でも同様の役割を任せており、所属の楽天でもチームリーダーであることからも、メンバーの中では最適の人選といえる。

▲11月8日の集合後、全体ミーティングを行った侍ジャパン。小久保監督は冒頭にあいさつし「日米野球に向けて、みんなで力を合わせて頑張っていこう」と真剣勝負をあらためて強調した



 嶋は、「みんなで声を出して元気を出して、監督がおっしゃるように勝ちにこだわってやっていきたい」と日米野球に対する意気込みを語るとともに、「昨年は親善試合。本当の日本代表は、(今回が)僕は初めて。日の丸を背負うことは想像以上の緊張感がありますが、それを覚悟してやっていきたい」と頼もしい。

 2017年へ向けてついに動き出した侍ジャパンは、11月10日のソフトバンク&日本ハム連合軍との壮行試合(次週詳報)を経て、12日、いよいよ日米野球開幕を迎える。なお、集合日だった8日に右肩の腱板炎のために辞退したソフトバンク・中村晃に変わり、DeNA筒香嘉智が追加招集されることが決まった。

▲練習中、リラックスした表情を見せる投手陣。右から藤浪晋太郎が第4戦、前田健太が第1戦、1人置いて大谷翔平が第5戦、則本昂大の第3戦先発が予告されている



▲10球種を操る金子千尋を囲み、変化球談議に花を咲かせる投手陣。金子は第2戦に先発する



▲投内連係で機敏な動きを見せた西野勇士。左の高橋朋己と2人でストッパーを任される



▲昨秋の台湾遠征に引き続き、小久保ジャパンの主将に指名された嶋基宏が、プロ1年目の小林誠司の練習を見守る。嶋は「次回のWBCに向けて、勝つ野球を目指したい」





▲右中間でコンビを組む糸井嘉男(下)と柳田悠岐は、打っても柳田が一番、糸井が三番と中軸。身体能力の高さでも侍ジャパン屈指で、メジャーに最も近い野手の2人



▲不動の四番に指名されている中田翔だが、守備練習ではお忙し。一塁で投内連係に入った後は、すぐさまグラブに持ち替えてレフトの守備へ。最後は再度一塁ミットを抱えて内野シートノックを受ける



▲遊撃は2013年の第3回WBCでもレギュラーだった坂本勇人(左)と、ゴールデングラブ賞を2年連続で受賞した今宮健太。2人のポジション争いにも注目だ



銀次はその打撃力を生かすために、侍ジャパンでは一塁起用がメーンとなりそう



▲投手&守備力をベースとする侍ジャパンでは絶対に欠くことのできない存在が二塁・菊池涼介。小久保監督の信頼は厚く、セ最多安打の山田哲人は一、三塁での起用となる



11.7 侍ジャパン事業を一元化
新会社設立


 日本野球機構(NPB)と12球団が、共同出資(12球団が各500万円、NPBが3000万円の資本金9000万円)で「侍ジャパン(野球日本代表)」事業を推進する、「株式会社NPBエンタープライズ」が11月7日に発足した。これまで「侍ジャパン」は、チームでの活動を含めて継続性に欠けていたが、意思決定のスピードアップも含め、それらの課題を解消するため、中長期的な戦略のもとで侍ジャパン事業を一元化させる。2017年のWBCまでに、興行や放映権料などで約40億円の収入を目標に掲げ、その収益はアマチュアを中心とした野球振興と底辺拡大に使われる予定。当面、代表取締役社長執行役員には熊崎勝彦コミッショナーが就任し、アマチュアからも顧問を招き、プロとアマが一体となって取り組んでいく。

▲右から小久保裕紀監督、熊崎勝彦社長、鈴木義信(全日本野球協会副会長)、赤星憲広(侍ジャパンアンバサダー)

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