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昨年、高卒新人としては、球団14年ぶりの春季キャンプメンバーに抜てきされるなど、華々しいプロ生活のスタートを切った左の巧打者。開幕一軍はならなかったものの、ファームで存在感を示し、シーズン終盤には一軍デビューを飾った。初めて味わう満員のスタンドと大きな歓声。今でも忘れられない痺れた舞台で、今季、躍進を遂げる
取材・文=高橋 透 写真=井田新輔(インタビュー)、BBM

フォークに苦しむ


 2014年のドラフト5位外野手。1年目から非凡なバッティングセンスを見せ、中畑清監督に「イチローを超えろ! それくらい期待している」と言わしめた逸材である。二軍で存在感を放ち、11月末に行われたNPBアワーズのファーム表彰では努力賞(日刊スポーツ選定)とビッグホープ賞(小社選定)を受賞した。

 ビッグホープ賞ありがとうございました。いただいた賞金でスーツ、シャツ、ネクタイを買わせていただきました。普段、物欲はまったくないのですが、おしゃれなスーツがあった方が良いと思ったので購入しました。

 昨シーズンは本当にあっという間に過ぎた1年でした。すべてが初めてのことばかりで、とにかく一生懸命にやっていくだけという思いで一日一日を過ごしていました。

 春季キャンプは一軍メンバーに選ばれましたが、開幕はファームで迎えることになりました。プロに入るまでは二軍のことは考えていなくて、1年目から一軍でやると思っていたので悔しい気持ちもありました。

 ヤクルトとの開幕戦(3月15日、戸田)でスタメン出場でき、ヒットを打つことができたことはうれしかったです。なんとか、一本打ちたいと思っていたので、ホッとしました。

 今でも手応えとして残っているのが、二軍で初めて打ったホームラン(4月2日、ロッテ戦、ロッテ浦和)です。自身10試合目でしたが、そのときまでちょっと調子がイマイチで、モヤモヤしている気持ちがあったんです。

 自分としても何かきっかけが欲しかった。そんな矢先に、その日の試合前のアップ中に後藤(武敏)さんから「『方向』を決めて打つのも一つの手だぞ」とアドバイスをいただいたんです。恐らく自分のフォームがどこか崩れていたのを見てくれていたのでしょう。逆方向を意識して打席に入ると1打席目にいきなりレフトにホームランを打つことができました。第3打席でも左翼二塁打。すぐ結果が出ました。以降、調子を落としたときは方向を意識するようになりました。

 3、4月は打率.330と結果が出ましたが、研究されたこともあり、5、6月は結果が出ない日々が続きました。崩れた要因はことごとくフォークに手を出してしまったことです。完全なボール球でも振ってしまう自分がいました。見極めることができず、ワンバウンドのボール球を振ってしまうんです。完全にやられました。フォークを見逃せるようになったのはシーズン終盤になってからです。体が軌道を覚えてくれたからかは分からないですが、体で見逃せるようになった感覚です。昨年はフォークとずっと戦っていました。

 ほかにも苦労はありました・・・

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