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才能を見込まれた男が苦境を乗り越えプロ3年目の今季、飛躍の時を迎えようとしている。誠、20歳。昨季、一軍初登板を果たし、そして今春キャンプはA班へ抜てき。多彩な変化球を持つ右腕が、首脳陣の期待に応え、抜群の投球を大舞台で披露する日も近い──。
取材・文=前田恵 写真=高塩隆、BBM

ホロ苦い一軍デビュー


 2年目の昨季終盤、ついに一軍初登板のチャンスが巡ってきた。9月13日、楽天戦(西武ドーム)。誠はプロ入り初登板のマウンドを、初先発で晴れやかに飾った。だが、結果は芳しいものではなかった。3回途中被安打6、与四球3の4失点で降板。雪辱を期した2度目の先発マウンド(同28日、同カード)では、2回を投げ切ることすらできなかった。

 プロ1年目は自分の持ち味であるコントロールの良さがまったく出せず、力んで最悪のパターンに陥っていました。2年目はそのコントロールも、ファームにいたころはずいぶん落ち着いてきていたんです。ただ、一軍に上がるとマウンドの雰囲気も違い、今度は気持ちの問題が出てきてしまいました。

昨季は2試合に先発して、0勝2敗、防御率14.54と悔しい結果に終わった



 そんなとき、球団から2度目の豪州ウインター・リーグ派遣の話をいただきました。一昨年もABL(オーストラリアン・ベースボール・リーグ)メルボルン・エーセズに派遣されたのですが、渡豪間もなく体調を崩し、1カ月弱の滞在中、ほとんどベストな状態で試合に臨むことができませんでした。

 今回は2カ月間。言葉もしゃべれないし、日本にいた方が楽と言えば楽です。でも、ほかの選手と差をつけるには、ウインター・リーグしかないと思いました。皆が日本で試合から遠ざかっている間、豪州で試合をしていれば、必ず翌年、いいスタートが切れる。1回目のときも、先発で2イニングしか投げていないにもかかわらず、キャンプの時点でほかの選手と肩の仕上がりが違うな、と感じていましたから・・・

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