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カギを握る男の決意

巨人・相川亮二インタビュー「力が同じなら若い選手が出て当然」

 

長年正捕手の座を守ってきた阿部慎之助が、一塁に転向。2年目の侍ジャパン戦士・小林誠司に注目が集まるが、これに“待った”。ヤクルトからFA移籍の相川亮二、その阿部をはるかにしのぐプロキャリア21年目の刺客だ。ジャパンでも2度の世界制覇を誇る39歳は、正捕手争いに意気揚揚。春季キャンプでは他をはるかにしのぐ仕上がりの早さで絶賛アピール中。
取材・構成=坂本匠写真=小山真司、大泉謙也



“その覚悟”はあるのか


――キャンプインから約3週間が経ちました。初めは違和感を覚えたかもしれませんが、ジャイアンツのユニフォームを着てプレーする自分にも慣れてきたのではないですか。

相川 やっていること自体は野球で変わらないですから、そこは問題ないのですが……。まだ1カ月も経っていないので、鏡の前に立ってユニフォーム姿の自分を見たときに、着慣れない感覚があるのはしょうがないことですよね(笑)。これから先、いろいろな映像であったり、例えば新聞、雑誌だったりで(プレーする場面を)見て、1カ月、3カ月、1年が過ぎて行けば、普通の感覚で見ることができるんだと思います(笑)。似合っている? どうでしょう。それは、正直、自分では分からないですね(笑)。あとはファンの皆さんに受け入れていただけるように、一生懸命プレーするだけだと思います。

――プロ21年目で2度目の移籍となりました。決して、簡単な決断ではなかったと想像できます。

相川 そうですね。確かに、簡単ではなかったです。僕は2009年に横浜からヤクルトに移籍していて、このときに新しい場所に飛び込んでいくのは本当に大変なことだということを経験しました。今回(移籍が選択肢に上がったときに)、“その覚悟”はあるのか、というのは深く考えたポイントでした。

――それでも最終的に巨人移籍を決断した理由を教えてください。

相川 僕はこのような決断というのは、向上心だと思っているんです。今年、39歳になるのですが、年齢とかそういうものにしばられるのではなく、やっぱり野球人として、プロ野球選手として、新たなことに挑戦し続けたい、まだまだ戦いたい、第一線で勝負したい、という気持ちの方が最終的に上回りましたね。このような舞台、ジャイアンツというチームでプレーさせていただける、チャレンジさせてもらえるというのは、なかなかないこと。自分の歳を分かっている中で声を掛けていただけたのは、選手としてうれしいことです。

――言い換えれば、体力的な部分、精神的な部分を含めて、まだまだ勝負できる自信も、確信もある。

相川 そうですね。トレーニングについては、30歳を超えたあたりから毎年、3年後を見据えて取り組んできました。このオフも3年後に自分はどうしていきたいのか、どんなプレーをしていけるのか、そして、こういう風にプレーしていきたい、というビジョンを持ってトレーニングを続けてきました。例えばオフならすぐ次のシーズンに向けて体を作るのが一般的だと思いますが、僕の場合、『今年』ってだけで終わりたくない気持ちが強いんです。それができなくなったときは、いよいよキツイのかなとは思いますけど。

――移籍先はこれまで20年間、倒すべき相手であった、憎きジャイアンツです。

相川 憎いってことはなかったですけどね(笑)。それに、そのとき、そのときに、どのチームにも勝たなければいけないですし。でも、ジャイアンツに勝たないと優勝ができないというのは事実でした。僕はここまで、横浜で14年、ヤクルトで6年、ずっとセ・リーグでプレーしてきて、優勝の経験はまだないですけど、やっぱりジャイアンツというのはセのほかの5球団から見れば、大きな壁であるので、ここに最低でも勝ち越せなければ、タイトルはつかめない、そう思ってプレーしてきましたね。

▲2月15日、キャンプ視察に訪れた長嶋茂雄終身名誉監督に移籍選手たちが紹介され、相川は深々と頭を下げる



――ジャイアンツに対する印象はどのようなものでしたか。

相川 もちろん、シーズンによってメンバー構成は変わるのですが、良い投手陣がいて、攻撃陣では長距離砲がそろっていながら、アベレージもしっかり残せて、かと思えば、実は足のスペシャリストも何人もいて、すごくバランスのいい打線。やっぱり、捕手目線から見ると、簡単な相手ではないですよね。

――ただ、ジャイアンツを倒すために20年間かけて頭にインプットしてきた投手陣の、攻撃陣のデータが、チームメートとなることで今度は逆の意味で生かせるのではないですか。

相川 そうですね。実際に(投手を)受けてみるのと、打席に立って打つのとでは違うんですが、自分の中に情報としてあるものは、当然、話していくつもりです。いわゆる欠点だったり、気になる部分は「もっとこうした方が良いよ」とアドバイスすることができますよね。

――ちなみに、外から見ていたジャイアンツと、中でプレーして感じるジャイアンツに違いはありましたか。

相川 違いは・・・

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