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侍ジャパンvs欧州代表

欧州代表戦 直前展望&起用法を大予想!

 

3月10、11日、侍ジャパンは欧州代表と親善試合を戦う。今秋にはWBCと並ぶ世界大会と位置付けられているプレミア12が初めて開催されるが、それまでの代表活動は決まっておらず、この2試合は大会制覇へ向けた貴重な強化と、新戦力発掘の場と期待される。今回招集されたメンバーの戦力を分析しながら、起用法を予想する。




投手力&選手起用予想
左の発掘作業、右は生存競争


 第1戦は大瀬良大地が、第2戦には松葉貴大の先発が決定済み。前者は13年秋に就任した小久保裕紀監督の初陣・台湾遠征に抜擢(当時は九州共立大4年)され、指揮官の興味を引いた1人。昨季は新人王を獲得し、昨秋の日米野球も候補ではあったが、招集を見送られていた。この間、右の先発枠には前田健太(広島)、金子千尋(オリックス)、則本昂大(楽天)、大谷翔平(日本ハム)が順当に結果を残しており(全員今回の招集は“免除”)、今秋のプレミア12のメンバー入りを懸けた重要な一戦となる。

 松葉はこれまでは中継ぎ起用がメーンだった。しかし、日米野球後、今後の課題に触れた指揮官が「左腕。特に先発」と明かしているだけに、スターターでの起用は試験の意味合いが強い。初選出の松井裕樹は所属球団と同様に中継ぎと起用法を決めており、名指しで候補に挙げていた菊池雄星は選外。昨季8勝を挙げ、小久保ジャパンフル参戦中の左腕への期待は高い。

 一方、藤浪晋太郎は第2先発の適性が見られるのではないか。前述のように右の先発は人材豊富。日米野球では不本意な結果で配置転換もあり得る。今大会に球数制限はないが今後の世界一奪回に向けては重要なポジションゆえに本人の割り切りも必要か。外国人キラーの又吉克樹、抑え候補の澤村拓一は秋に向けたアピールの場。ちなみに、昨季11勝の井納翔一は使い勝手の良さで欠かせない戦力だ。

投手陣注目の男・松葉貴大




 第2戦の先発が決まっている小久保ジャパンフル選出中の左腕。プロ3年目を迎え、所属のオリックスでも開幕先発ローテを手中に収めつつある。昨秋の日米野球後、指揮官は左腕発掘(および強化)を課題に挙げており、侍の先発枠入りへ絶好のアピールの場となる。

投手陣注目の男・澤村拓一




 侍ジャパンには第3回WBC以来の復帰となる。しかも、抑え候補として。今季よりリリーフ転向を決断。巨人ではクローザー争いの渦中にあったが、その取り組みを見て、小久保監督が抜擢した。その後の実戦で適性を示しており、侍でもポジションを奪いにかかる。

打撃力&選手起用予想
會澤翼の“打”、新戦力の一芸


 WBCのような国際大会では28人が出場選手の定数だが、今回はマイナス2の26人のみの選出となった。その理由を小久保裕紀監督は「全選手を使いたい」と狙いを明かしたが、言い換えれば一人ひとりをジックリと観察したいという考えをうかがうことができる。また、嶋基宏の選出が「ずっと主将を任せているから」であるように、数少ない強化の場を利用し、戦術・方針の浸透とチームの熟成も重要なテーマの1つとなる。

 日米野球で捕手・嶋、菊池涼介&坂本勇人の二遊間、中堅・柳田悠岐のセンターラインは固まった。三塁・松田宣浩、四番・中田翔も不動で、注目すべきはワキを固めるメンバーではないか。特に4人目の捕手登録で初選出の會澤翼伊藤光小林誠司よりも攻撃力に秀でる、今売出し中の捕手は、やはり“打”で爪痕を残すことが期待される。一方で、巨人でも正捕手争い真っただ中で代表希望枠・小林も強烈なインパクトを残す必要がある。内川聖一(ソフトバンク)、糸井嘉男(オリックス)不在の中で初選出された雄平大島洋平には、それぞれ“打”“守&走”の一芸に熱い視線が注がれている。

打撃陣注目の男・柳田悠岐




 小久保ジャパンには昨秋の日米野球が初招集だったが、もはや欠かせない存在に。豪快なフルスイングはメジャー・リーガーを相手にも十分に威力を発揮し、大会MVPを獲得。菊池とともに打っては一、二番コンビを、守ってはセンターラインを成す、“核”となっている。

打撃陣注目の男・坂本勇人




 日米野球にも中心選手として、早々にメンバー入りを決めていたが、今回の招集選手発表会見では小久保監督が嶋とともに“リーダー”に指名。「球界を引っ張ってほしい」とゲキを飛ばした。今季巨人でも主将に就任した早熟の強打の遊撃手が、侍もけん引する。

未知の相手・欧州代表


昨季まで楽天に在籍していたA.ジョーンズも欧州代表に名を連ねる



 欧州代表はプレミア12への出場権を持つ(すなわち、世界トップ12!)オランダ、イタリアを中心に、ドイツ、スペイン、フランスの計5カ国からメンバーが選出され、ベルギー人のスティーブ・ヤンセンが指揮を執る混成チームで、ほぼすべての選手が自国リーグでプレーしている。中には前楽天でDH登録のA・ジョーンズ(自由契約)のほか、現オリックスのマエストリ、今季よりソフトバンクのバンデンハークの2投手がいる。欧州代表は3月4日に来日し、練習および巨人二軍との練習試合を経て大会に臨むこととなっており、準備期間は侍ジャパンよりも長い。決して侮れない相手だ。
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