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目の前にはまたとないチャンスが広がっている。7年間の下積みを経て若手から中堅へと差し掛かる8年目、自らの力で不動の三塁手&選手会長・村田修一への挑戦権を得た。争点は端的に“どちらが打てるのか”。飛距離こそライバルに軍配が上がるが、すさまじい衝撃音をともなう打球の強さには分がある。25歳・中井大介が、その強烈なスイングで己の道を切り開く。
取材・構成=坂本 匠 写真=小山真司、BBM

100%の力を伝える


 宮崎での春季キャンプから、中井大介のパフォーマンスはひときわ目を引いていた。セカンドの定位置をつかみかけた2013年(試合中に左ヒザじん帯を損傷。戦線離脱)に、原辰徳監督が「ウチにはいないタイプ」と絶賛したスイングには一層の力強さが加わり、特有のライナー性の打球はさらに鋭さを増した。

 サード(内野)専念を決意して挑んだプレシーズンは、村田修一の状態が上がらない中で、2月いっぱいまでのオープン戦打率.500と好調を維持。指揮官の言葉を借りるならば、確かに村田の背中が見えていた。

 誰が見てもチャンス。こんな機会は、なかなかないと自分でも分かっています。プロに入って8年目で、本当に勝負の年。自分のこれからが掛かっている大事なシーズンで、そういう立場にいることも十分に理解しています。だからこそ、このチャンスを自分の力でつかみ取りたい思いが強いです。でも、今のままではまだ足りません。毎試合結果を残して、しっかりとアピールしなければいけないですね。

打球の速さ、強さはチームでも随一。原辰徳監督も「ウチにいなかったタイプ」と認める



 開幕一軍はこれまで2010年の1度だけでした。3年目以降はケガで勝負することもできませんでしたから、ケガをすることなくキャンプ、オープン戦と戦える状態であったことがまず良かったと思います。特にキャンプ中盤から始まった、実戦形式の練習、紅白戦、対外試合、オープン戦序盤は、バッティングで良い内容、結果を残すことができていたので、自分でも手応えを感じていましたし、「今年は勝負できる」という気持ちがありました。

 3月に入ってからはバッティング面でなかなか修正できない部分が出てきてしまって、少し、苦しい時期にいます。これまでは昨年の秋に新たに取り組み始めたことが良い方向に出て結果につながっていたのですが、期間がまだ短いので、新しい挑戦への引き出しが少ない。崩れ出したときにどこを修正していいのか、どこがおかしいのか、良かったときはどうやって打っていたのか、と混乱があって、悪い方に悪い方に行ってしまったのかなと。

 それに、結果も欲しいですから、気持ちの余裕もなくなっていました。冷静になろうと考える自分と、どうにかして打たなきゃと強引に行ってしまう部分との悪循環。「開き直って」という表現が正しいか分かりませんが、ゲームに入れば思い切って行くしかない。結果が出なかったここ半月くらいのことはしっかりと切り替えて、ここから思い切りよくやっていきたいと思っています。

 バッティング面で「取り組んできたこと」というのは、打席の中でシンプルに打ちに行く、ピッチャーに向かって行く、ということです。技術的なことで、打ちに出る際に今までは突っ込みたくない、前に出されたくない思いが強くて、後ろに残そう、残そうとし過ぎるあまり、逆に残り過ぎてしまう悪いクセがありました。ピッチャーの投球を“受けている”状態ですね。受けてしまうと、バットの芯に当たったとしても、自分の持っている100%の力をバット、ボールに伝えて弾き返すことができません。

 それはもったいないよね、ということで、今までよりも打ちに出るイメージ、自分の中でもかなり前に打ちに行くスイングを心掛けています。周りの方からは「今くらいで普通だよ」と言われていたので、自分の感覚と、実際の誤差の修正を繰り返すことから始めました。そのイメージを持って、スイングをし、ピッチャー、センター、バックスクリーンに、自分の持っている力をぶつけていく・・・

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