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エース・内海哲也、ベテラン・大竹寛が不在の先発陣の中で、抜擢に十二分な結果で応える頼れるフレッシュマンだ。堂々としたマウンドさばきは社会人生活7シーズンが成せる業。同じくルーキー・戸根千明とともに原辰徳監督も「ピッチャーにいい風(を吹かせている)」と絶賛を惜しまない。デビューから3戦3勝と粘投を披露する高木勇人に話を聞いた。
取材・構成=坂本 匠 写真=小山真司、前島 進、高塩 隆
※記録は4月12日時点

「6番手を目指せ」に「しっかり目指します」


──三菱重工名古屋では、特に昨年はリリーフで登板する機会が多かったようですが、プロ入り初のキャンプだった今春も、まずリリーフを意識して入ったのですか。

高木 はっきりとリリーフとは言われていなかったので、最終的にどちらを指示されてもいいように、と思って取り組んでいました。将来的には絶対に先発をするんだと思っていたので、キャンプでは球数を投げたりもしました。

──明確に先発を争うことが決まったのは、オープン戦に突入してからだったと記憶しています。

高木 言われたときは、本当にうれしかったです。原(辰徳)監督から「6番手を目指せ」と言われて、「しっかり目指します」と。自分の中では準備はできていました。

──開幕3戦目(3月29日、対DeNA、東京ドーム)でのプロ初登板初先発初勝利(6回、被安打6、2失点)もさることながら、4月5日の阪神戦(同)は初完封勝利と完ぺきでした。前日、ポレダ選手の勝利で連敗こそ止まっていましたが、決して良いとは言えないチーム状態の中、どのような思いでプロ2戦目のマウンドに?

高木 とにかく自分は自分。それ以外のことは考えないでいました。その試合のお立ち台で質問されて「僕は僕です」と言ったのですが、それも同じように『自分ができることを100パーセントやる』というような意味で、最高のパフォーマンスができるように集中しています。チームの状況とかもありますが、僕はまだそこまで考えられる選手ではないです。ただ、期待して先発をさせてもらっているので、とにかく自分が今できる100パーセントのことをやる。120パーセントを求めてもできないですからね。それ以外、今は考えられません。

4月12日のヤクルト戦(東京ドーム)では、7回に先制点を許すも、その裏にチームが逆転。球団では15年ぶり4人目となる「初登板からの3戦3勝」を達成した



──初完封の阪神戦では「実感はない」と話していましたが、冷静に振り返って良かったところは?

高木 結果的に完封だっただけで受けていただいた阿部(慎之助)さんや、バックの皆さんのおかげです。良かったところを言葉で表すのはなかなか難しいのですが、一言で言えば、「100パーセントに近いように、準備ができたこと」ですね。

──準備、ですか。

高木 そうです。コンディション的には、初登板のDeNA戦とまったく同じ状態で阪神戦に入れました。それをまずは目指していて、達成できたんですよ。DeNA戦はプロでは初先発で、当然、今までにない疲れなどが出る。そこから、一週間後に先発を迎えるという経験を、今までしたことがなかったので、むしろ初戦よりも2戦目の方が大事だと考えて、準備に取り組んできました。

──DeNA戦は初勝利を挙げましたが、序盤、四球があったり連打を許したりで、球数が多く(6回で105球)、少しバタバタした印象がありました。一方の阪神戦はそれらが解消され、116球の完封勝利。この2試合の違いをどう考えていますか。

高木 球数が多かった原因はいっぱいあるんです。ただ・・・

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