週刊ベースボールONLINE

世界の野球を知ろう!

住田ワタリのメキシコ野球事情!パート3

 

大学卒業後にアメリカでスポーツ医学を学び、世界各地でトレーニングを指導してきた住田ワタリ氏。今春にはメキシコプロ野球、Tigres de Quintana Roo(ティグレス)にコンディショニングインストラクターとして帯同した。日本とはまったく違う文化、環境の中で行われている野球とは。全4回の集中連載で、現地の様子をリポートする。
文・写真=住田ワタリ、構成=吉見淳司

 物足りない。周りに急かされて足早に乗り込んだバスの席で思う。時刻はまだ13時を回ったところだ。9時15分にアップを開始し、練習は3時間程度で終了。「えっ、これだけ!」。心の声がつぶやく。日本球界で過ごした7年間の影響かもしれない。

 メキシコに限らず、中米の冬季リーグやアメリカのマイナー・リーグも、実働練習時間の少なさは共通している。短所克服に時間をかける日本野球と比べ、外国では長所を伸ばし、実戦を積み重ねることに重きを置いている。実戦の機会は平等に与えられるが、与えられたチャンスを生かせない選手は去り、新たに補充される。こうして頻繁に起こる新陳代謝は選手の自覚を促し、危機感と競争心を煽るのだ。

 練習試合が始まった。投手には持ち球すべてを試すこと、野手には積極的なランニングをすることを求めるジェリー・ロイスター監督。内野フライを打ち上げたベテラン選手が悔しそうにその打球を見上げていると、「コーレ(走れ!)」と怒声が響く。打ったら走る、当たり前のことだが、「基本」をおろそかにさせない監督の鋭い眼差しは、全選手の一行動も見逃さない。実戦で結果が出ない選手には容赦なく戦力外が通告される。

短所克服を重要視する日本とは対照的に、外国では長所を伸ばすことと、実戦が重要になる[写真左上が筆者]



 試合後、ホテルのロビーに現れた3人の若手選手はバハカリフォルニア州にある下部組織への降格を通達された・・・

この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。

まずは体験!登録後7日間無料

登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。

HOT TOPICS

HOT TOPICS

球界の気になる動きを週刊ベースボール編集部がピックアップ。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング