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“プレミア12” 初制覇への戦い

藤浪晋太郎 阪神の、そして日本のエースへ

 

脱力投法をつかむことで、もうワンランク上の投球を目指し始めた。今季は4月24日時点で4試合登板1勝1敗0セーブ、27イニング防御率3.33。



2014年オフに初めて侍ジャパン、トップチームに招集された藤浪晋太郎。高卒2年目ながら、日米野球の先発マウンドも経験した。そして何より各チームのエース級と触れ合うことで、自分に何が必要なのか、はっきりとした指標が出来上がった。そして今季、そこに向かい試行錯誤しながら突き進んでいる。
写真=前島 進、BBM

1試合平均の与四球に見られる成長


 198センチの長身から繰り出される荒れ球の勢いのある速球。四球は出しても仕方がない。それが藤浪晋太郎の投球の特長だ。だが今季ここまで4試合に登板し6四球。1試合平均1.5個。意外とも言える数字だ。

 昨年の日米野球で侍ジャパン初招集となった。ルーキーとして10勝を挙げた2013年オフ。小久保ジャパンの船出となる台湾遠征には呼ばれなかった。しかし翌年2年連続2ケタ勝利(11勝8敗)の成績を残しての選出は当然だった。藤浪自身も自信を持っての代表入りだった。 メジャーの打者を相手に打たれはしたが(4回4失点)、将来的にも十分通じる一端を見せた。その投球以上に、この招集が、投手として、選手としての思考に変化をもたらした。各チームのエース級がそろう侍ジャパンで、多くのことを学んだのだ。

 日本のエース・前田健太広島)からは脱力投法の考えを学び、もう一人のエース・ 金子千尋オリックス)からは変化球を投げるときの考え方、チェンジアップの握りを伝授された。 オフには前田の自主トレに参加し、その脱力投法を取り入れる。またキャンプでは3種類の握りのチェンジアップを試し、最後は教えてもらった金子の握りに落ち着いた。そして、何より意識が大きく変化したのが、プロとしての心構えだった。

 今年の目標は「エース格の投手になる」。契約更改の席では球団に「サプリメントバー」の設置を求めるなど、代表を経験したことで、どういう投手になるべきなのかがはっきりと見えた。 長年慣れ親しんだ力み気味の投球フォームから脱力投法へ。そう簡単に手に入れられるモノではない。時にそれは藤浪の特長を消し去ることになるかもしれない。だが、目先の1勝を目指しているのではない。長く阪神のエースとして君臨するには何が必要なのか。そしてそれが完成すれば、前田や金子の跡を継ぐ日本のエースへと成長していくことを藤浪は知っている。 今季は良かったり、悪かったり。勝ったり、負けたりが続いている。だが1試合平均1.5四球。この数字が、藤浪が今、成長過程にいることを示しているのだ。今はすべて、日本を背負うためへのプロローグなのだ。

昨年の日米野球第4戦で先発し4回4失点で敗戦も、それ以上の大きな収穫を得た



PROFILE
1994年4月12日生まれ。大阪府出身。198cm88kg 。右投右打。大阪桐蔭高から13年、ドラフト1位で阪神に入団。甲子園春夏連覇を達成した本格派右腕で、1年目から先発ローテーションに入り2ケタ勝利を挙げた。2年目も開幕から先発ローテ入り、能見、メッセンジャーとともに先発投手陣の軸となり、高卒ルーキーで2年連続2ケタ勝利(11年ぶり)を挙げ、クライマックスシリーズで好投を見せるなど、チームをけん引した。2014年秋、15年春の侍ジャパンにも選出された。
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