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2015ペナントレースエクスプレス

打つだけじゃない!山田哲人がもたらすチームへの好影響

 

今年は打つだけじゃない!
山田がもたらすチームへの好影響


 チームに不可欠なリードオフマンへと成長したヤクルト山田哲人が、少し悩んでいる。開幕から快音を響かせ、4月3日からは三番に座った。だが、杉村繁打撃コーチが「去年あれだけの成績を残して相手も研究してくる。昨年に比べて厳しいところを攻められているし、配球も全く違う」と分析するように、中軸に座ったことでさらにコーナーを厳しく攻められ、快音が徐々に消えていった。12日には打率が3割を切るなど「少し悩んでいます」と本音を漏らしたことも。それでも昨季193安打を放った実力は本物で、量産とはいかないまでも、日々安打を生み出している。

 30日までの全28試合中無安打に終わったのは7度。そのうち出塁できなかったのが3度だ。四球は15で出塁率は3割後半を維持している。昨年の勢いほどではないが、マークされつつもしっかりとチームに貢献する姿がそこにはある。

隙あらば次塁を狙いチャンスメークをする山田は、4月30日現在でリーグ4位の得点(16)とホームへかえってくる数はやはり多い[写真=菅原淳]



 守備面にも変化が見られる。春季キャンプからマンツーマンで守備練習に取り組んだ三木肇コーチも、「できるか、できないかは別として、僕の話すことに対して一生懸命理解しようと努力している。さまざまな物事に対して考えようとする姿勢は、変わってきていると思う」。できたからOKではなく、なぜできたのかを考えることで、一つひとつのアウトを偶然から必然へと変えていく。

 その意識はセンターを守る雄平にも伝わっている。「今年は(守備の際)後ろを振り返る回数が増えました。僕らのポジショニングも見てもらって、お互いに分かっていないと見えないミスも生まれやすいので。姿勢が変わったなと感じます」と山田の変化を感じている。

 さらにもう1つ。山田自身がこだわっていきたいと話す盗塁についても意識の変化が見られた。

 3月27日の広島との開幕戦(マツダ広島)では、広島のエース・前田健太から初回に中前打で出塁すると、すかさず二塁を奪う。「出たら走ろうということは前日から決めていた」とこの日は2つの盗塁に成功した。チームはその勢いのまま勝利。それでも「ここからマークも厳しくなってくると思うので、これからが大事ですね」と気を引き締めた。

 15日からは再び一番に戻り、リードオフマンとしての働きを十分に果たしている。山田が一塁にいれば投手は意識せざるを得ない。この状況を作れるだけでも、攻撃のアシストとなる。山田も「先制点は勢いがつくので、初回に足で1点取れるようにしたい」と意識は十分だ。

 勢いだけで成績を残した昨年とは違う。1プレー1プレーに集中し、考え、チームの勝利に貢献する。徹底マークのカベを乗り越えたとき、昨年に勝る働きでチームを勝利に導くことは間違いない。
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