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引退試合クローズアップ

「本当に幸せでした」竜2000安打トリオ 引退試合レポート

 

チームの新陳代謝を進めるため、ベテラン勢が相次いで引退を表明した中日。球史に名を残した野手3人が、1週間のうちにそろって引退試合を行った。

谷繁監督兼選手には中日ファンだけでなく、古巣・DeNA(横浜)のファンからも大きな歓声が送られた[写真=桜井ひとし]



笑顔と涙……名選手たちが幕引き


 谷繁元信監督兼選手、和田一浩小笠原道大。3選手合計で6278安打、926本塁打、3290打点もの数字を積み上げてきた中日が誇る2000安打トリオが、今季限りでそろってバットを置いた。

 最初に引退試合を行ったのはプロ19年目の小笠原。9月21日にナゴヤドームで行われた古巣・巨人との試合に五番・一塁でスタメン出場すると、4回の第2打席に遊撃内野安打を放ち、通算安打を2120に伸ばす。7回の第3打席にも左翼線へ飛ばしたが、亀井善行の好守に阻まれてレフトフライに終わり、そのまま交代した。

 試合後には巨人の選手も加わった胴上げで計5回、宙を舞った小笠原は、0対4の敗戦だったもののお立ち台に上がった。

「なかなかこういう経験をできる人間はいないと思うので、本当に幸せ者だと思います。この場を設けてくれた中日、巨人両方にお礼を言いたい。ありがとうございます」

 満面の笑みで感謝を述べ、現役生活に別れを告げた。

中日、巨人の選手から胴上げされた小笠原[写真=佐藤真一]



 24日の本拠地最終戦(対阪神)で引退試合に臨んだのはプロ19年目の和田。五番・左翼で先発出場した和田は、2回の第1打席に左前安打。その後に一死一、三塁となり、谷繁監督兼選手の左前適時打で先制のホームを踏んだ。

 第2打席は空振り三振、第3打席は遊ゴロに倒れた和田は、この打席で交代。家族から花束を受け取る和田の姿に、思わず谷繁監督兼選手の目にもじんわりと涙が浮かんだ。

「僕がやっていることに対して毎日毎日プレッシャーを感じてきたと思う。そういう意味では一緒に戦ってきたと思っているので、家族には感謝しかないです」

 セレモニー後の会見では笑顔で語った和田。チームも4対2で快勝する有終の美となった。

岐阜出身の和田。地元のヒーローとしてさまざまな名場面を生んできた[写真=高塩隆]



 2人の引退を見守った谷繁監督兼選手が自身最後の試合に選んだのは、26日の横浜スタジアムでのDeNA戦だった。かつて自身が本拠地としていた地で、八番・捕手で先発出場。2回二死一、二塁の第1打席で遊ゴロに倒れると、この回限りで退いた。

 試合は2対3のサヨナラ負けだったものの、中日、DeNAの選手から胴上げをされると、笑顔で場内を一周。DeNAの応援団からも花束が投げ入れられ、大洋、横浜時代の応援歌も演奏された。

「全後輩に胴上げしてもらったという思い。いい思い出になった。本当に幸せでした」

 自身が持つNPB史上最多の試合出場数を3021にまで伸ばし、27年間の現役生活の幕を閉じた。
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