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阪神・掛布雅之二軍監督「自分に厳しい野球」で選手を育てる

 

ミスタータイガースが「31」を着けて帰ってきた。ここまで阪神GM付育成&打撃コーディネーターの肩書で2年間若手選手を指導してきた。しかし、金本知憲新監督の強い要望で、二軍監督に就任。卓越した野球理論と人を魅了するオーラで、猛虎再建の基礎部分強化のため全身全霊をかけていく。
文=島尾浩一郎(報知新聞社)、写真=前島進



2年間で確かな手応えを感じ


 猛虎再建の礎を築く二軍監督として、うってつけの人物だ。掛布雅之という男は、指導者として資質に十分過ぎるほど恵まれている。練習にとことん付き合う根気、情熱。卓越した野球理論を持ち、それを誰にでも分かりやすい言葉で伝える能力。3度の本塁打王に輝いた現役時代の実績からくるカリスマ性。天性の明るい性格で、世代の離れた若い選手とのコミュニケーションもお手のモノだ。厳しい練習の中でも、掛布の周りにはいつも笑顔があふれている。「引退してすぐにユニフォームを着ていたら、上から押しつける感じの指導者になっていたかもしれない。人生で回り道をしたことが今に生きている」。酸いも甘いも噛み分ける60歳という年齢だって大きな武器だ。

 掛布が阪神GM付育成&打撃コーディネーター(DC)に就任したのは2013年10月だった。評論家活動などを継続しながら、球団フロントに籍を置く、球界でも例を見ないポストだった。契約の際、どれぐらいの頻度で指導するかの取り決めはなかった。極端な話をすれば「週1」でも問題なかっただろう。だが、掛布は二軍コーチ陣と同じ環境に身を置いた。チームの遠征に帯同しなかったときも、鳴尾浜の居残り練習組を指導した。テレビや新聞の仕事で遅くまでナイターを観戦した翌日も朝一でグラウンドに現れた。春、秋のキャンプもほぼフル参加し、早朝練習から夜の素振りまで熱心に指導した。中途半端な立場を自覚していたからこそ、外野を黙らせ、誰にも文句を言わせないハードスケジュールをこなした。

2年間の打撃指導で力をつけてきた横田などを今度は二軍監督として、一流の選手に育て上げ猛虎再建を進めていく



 だが、背番号のないDCというポジションでは「立場上・・・

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