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年末特別企画
取材ノートに残されたマル秘エピソード セ・リーグ編

 

セ・パでトリプルスリー達成者が出現し、シーズン最多安打記録も塗り替えられるなど例年になく盛り上がった2015年のプロ野球界。本誌各球団担当も選手のプレーに熱心に追ったが、まだ誌面に掲載していない隠されたドラマが取材ノートに残っていた。喜怒哀楽が詰まったマル秘エピソードをここで公開しよう。

ヤクルト・V目前、三塁ベース上で――


 自身初の全試合出場を果たし、自身初のタイトルでもある首位打者と最多安打を獲得。さらにはベストナイン、ゴールデン・グラブも受賞と輝かしい1年を終えた川端慎吾が本音を吐露した。「しばらく野球はやりたくない。本当にしんどかったし、疲れました」。日本一には届かなかった。だからこそ2016年の目標は日本一と断言した。だが、川端は言う。「リーグ優勝が一番うれしいと思う。短期決戦での勝利より、長いシーズンを戦い抜いての勝利のほうがうれしいんだと思います」。

 シーズン141試合目となった10月2日の阪神戦(神宮)、1対1で迎えた延長11回裏二死一、三塁。川端はサードベース上にいた。

「『ああ、雄平さんが打ったら優勝だなあ』そう思った瞬間、6カ月間の苦しい日々が思い出されてきたんですよ」

 5月の9連敗を始め、自身が打ってもチームが勝てなかったことは数え切れない。そしてマジック1からの足踏みは、味わったことのないプレッシャーとの闘いだった。

 雄平が放った打球が右翼線付近に落ち、川端はチーム14年ぶりの優勝を決める、ホームベースを踏んだ。「ホームインした瞬間に涙が自然と出てきたんです。本当に自然と」。

 自分の意思とは関係なくあふれ出てくる涙を思い出し、あらためて思う。「優勝ってうれしいんだなあ」と。

巨人・“動物的”に駆け抜けた1年


 どんなに高い潜在能力を持っていても、巨人からは山田哲人柳田悠岐も、生まれないと思っていた。近年の原巨人は“常勝”に縛られ、選手は制約にがんじがらめに感じられたからだ。そんなお堅いチームに、突如として現れた異端児が一番・中堅をつかんだ立岡宗一郎だ。

 ソフトバンクから移籍1年目にケガをして、左打ちに転向して……の件くだりは省略するが、彼を変えたのが今季終了まで二軍監督を務めた岡崎郁の言葉だ。開幕一軍を逃した立岡は、二軍戦開幕前に岡崎監督に、吉川大幾とともに呼び出された。「お前ら、たいがいの野生動物なら素手で倒せそうだな・・・

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