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里崎智也が斬る!タックル・ブロック禁止のプレーへの影響

 

今季より適用されるクロスプレーのルール変更について、1月21日にNPBの井野修審判技術委員長が全12球団への説明を終えた。捕手のブロック、走者のタックル禁止により、野球に変化が起きるのか。日本一、WBC世界一を経験した元ロッテ里崎智也氏に捕手の視点から話を聞いた
取材・構成=吉見淳司、写真=BBM

 詳しい変更は下にまとめましたが、このルール改定によってメリットとデメリットが生まれました。メリットとしては、選手の安全性が向上したこと。しかしその一方でセーフの場合はどうやっても得点を防げないというデメリットがあります。

 僕としては、賛成も反対もないですね。スポーツというのは定められたルールの中で最大限のパフォーマンスを発揮して結果を出すもの。その点では、はっきり明文化されたというところは良かった。

 ただ、僕も現役時代にブロックしていて体当たりを食らい、肋骨を骨折するなど危険を感じたことはありますが、それも承知で行っていました。1点を防ぎに行くためにホームベースを隠して、ベースのどこも見えないような状況をつくっていれば、それで吹き飛ばされても仕方がないという覚悟でしたけどね。それが嫌だったら最初からベースを空けておくしかない。だから、捕手が走者のタックルについて文句を言うのはナンセンスだと思っていましたが……。



 それはさておき、キャッチャーならこの変更には簡単に対応できると思いますよ。捕ってタッチをする、これだけしかなくなるわけですから。これまでは「体を張ってアウトにせんかい」とよく言われていましたが、これはブロックという大前提があったから。これからは完全にセーフのタイミングをアウトにするというテクニックをできなくなるので、完全にアウトのものだけアウトにすればいい。こんなにラクな話はないですよ。選択肢が少なくなり、シンプルになっただけ。

 必然的にタッチプレーが増えるでしょうから、本塁クロスプレーのビデオ判定採用は良い変更だと思います。まあ、これはほかの塁にも言えることですが、特に本塁は1点が入るかどうかの大きなところですから。

 今回のルール変更によって大きく変わるのは、サードランナーが本塁突入する場面が増えることでしょう。例えばノーアウト(ワンアウト)ランナー三塁で内野ゴロの場合、走者はこれまで以上にゴロゴーしやすくなります。これにより今季のチーム得点は増加し、投手は若干防御率が悪くなるかもしれません。ただ、これは特定の球団に有利に働くわけではありません。すべてのチームに共通することですから、大きな混乱はないと思います。

 皆さんも賛成、反対はあるでしょうが、100%賛成、100%反対ということはありえない。どんなことにも賛否両論はあるでしょうが、プレーする側とすればそれに従うだけです。これまでにも二段モーションの禁止や三塁への偽投禁止などのルール変更がありましたが、野球自体が大きく変わることはなかったですよね。おそらく、1年後には当たり前のように受け入れられていると思いますよ。

追加される新ルール
I)走者による捕手への体当たりの禁止
II)捕手のブロック、走路を防ぐことの禁止
III)逸れた送球を捕球するために捕手が走路に入ることは許されるが、激しい接触を避ける努力をする
IV)悪質で危険な衝突と判断した場合、球審は選手に警告を与えるか、退場処分とするさらに……本塁上でのクロスプレー(主に本塁での衝突プレー)で当該試合の責任審判が必要とした場合にビデオ判定を行う

PROFILE
さとざき・ともや●1976年5月20日生まれ。徳島県出身。鳴門工高から帝京大を経て、99年ドラフト2位でロッテに入団。2年目の2000年に一軍出場を果たすと、次第に出場機会を増やし、05年の日本一、06年のWBC優勝に貢献。以降は不動の正捕手としてチームの中心に。10年にもリーグ3位からの下克上日本一をけん引した。14年に現役引退。現在は野球評論家として活躍中。

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