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春季キャンプ現地レポ
広島・黒田博樹が9年ぶりに日南入り

 

@宮崎県日南市・天福球場、取材・文=菊池仁志、写真=湯浅芳昭

 広島黒田博樹が2016年シーズンをスタートさせた。その地は宮崎県日南市の天福球場。昨年はチームが沖縄に移動した後に合流したため、黒田がこの地を訪れるのは07年以来9年ぶりだった。2月16日、円陣の中央で「今日から合流しました。なんとかチームの優勝に貢献できるように頑張ります」とあいさつ。チームスタッフには「20年目の黒田です。今年もよろしくお願いします」と語りかけた。日南入りする直前の2月10日には41歳の誕生日を迎えた。「正直、しんどい」と感じる体にムチ打って、今年も右腕を振る。

原点の地・日南で16年シーズンをスタートさせた黒田。チャレンジ精神で「しんどい」という体を奮い立たせる



 現役続行と引退のはざまで揺れた昨シーズン終了後。「新しいモチベーションを探すということは、もう1年やろうと思っているということ」と心の声に素直に耳を傾けた。日南は若かりしころから、汗を流し続けた土地。

「全然変わっていなくて、久しぶりという感じもしないし、違和感もない。若いころは練習もハードにやったし、走ってばかりだった。投げ込みもしっかりやっていたし、そういう意味で沖縄よりも思い入れは強いですね」。黒田にとって原点の土地。日南一次キャンプの最終クールに合流を決めたのは、そこに心を奮い立たせる何かがあると信じたからだろう。

 今キャンプでは新球・チェンジアップの習得に励んでいる。本意はこうだ。「毎年、この時期には何かしらにトライしている。去年はカーブを試していた。そして、去年1年やったから、今年は当然、相手も研究してくる。自分も進化していかなければならない」。ただ、このチェンジアップはこれまでにも試みてきた球種で、試合で積極的に使えるまでには至らなかった。それでも挑戦を続ける。

「何かやっておかないと怖い。これまで投げられていたボールが投げられなくなることがあるかもしれない。選択肢を増やしておくことは必要です」。ベテランの域に達し、より強く抱くようになった恐怖心。それに打ち勝つにはチャレンジを続けるしかない。それが黒田流のモチベーションアップ術だ。

 19日には二次キャンプ地の沖縄に移動した。これから実戦に向けて体の総仕上げに取りかかっていく。エース・前田健太が抜け、先発に再転向する大瀬良大地が右ヒジに違和感を訴えた。頼れる存在としてあり続ける必要がある。
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