無念のリタイアだった。昨年、イースタンで12勝を挙げ、最多勝を獲得した誠。2016年、背番号も71から41へと変更となり、やる気をみなぎらせて南郷春季キャンプに臨んだが2月9日、右ヒジ痛が発覚してB班へ。結局、じん帯損傷で全治3カ月──。4年目右腕に再び試練が訪れた。しかし、誠にはそれを乗り越えるだけの力がある。チャンスをこの手につかむまで、前を向くだけだ。 取材・構成=小林光男、写真=桜井ひとし ストレートは球速じゃない
そのストレートの球速はわずか132キロだった――。右ヒジ痛が発覚する前日、2月8日に南郷春季A班キャンプで行われたシート打撃に登板した誠。カウント1-1から始まる設定で昨年、プロ野球新のシーズン最多216安打を放った秋山翔吾と対戦したが初球104キロのカーブで追い込むと、続いて外角低めへストレートを巧みに制球した。右腕から投じられたピュッと音のするような1球が、背番号55のバットに空を切らせたが、そのスピードが132キロ。「球速ではなく、キレのあるストレートのほうが通用する――」。昨年、イースタンで投げ続けて身に染みたことを、あらためて実感した。 「ストレートを磨け――」。昨年、シーズン途中に首脳陣からテーマとして与えられて。自分で考えて、まずブルペンで投球練習をするときに普段よりも腕を振って、強いボールを投げるようにしました。すると、球速も出るようになったんですよね。それまでの最高は142、3キロだったのが148キロへ。でも、試合では打たれるんです。
頭の中が「?」だらけになったんですけど、映像を見たり、いろいろな人に話を聞いたりして。その結果、分かったのが・・・
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