葛藤の日々は、自らのバットで振り払う。ノーステップ打法で本塁打王に輝いた2010年。キャリアハイの成績は、いまだブレークイヤーのまま。悩み、もがき続けた5年を経て、新たな決意を胸に今季に挑む。もう迷わない――。己を信じて打席に立つ、その胸中に迫る。 取材・構成=鶴田成秀、写真=前島進 打席での考え方を変えて
くすぶり続けた5年間。パワーとボールを飛ばす技術はトップクラス、練習熱心な性格で、バットを振る時間も惜しまない。だが、結果が伸び悩み、昨季はケガに泣かされ2度の二軍落ちも味わった。チームの主砲として期待され続ける男が、プロ11年目の今季、考えを一新させて打席に立ち続ける。 ――1月の自主トレの時点でキャリアハイとなる「35本塁打・100打点」を今季の目標に掲げました。
T-岡田(以下・T) 今年にかける思いは本当に強いんです。昨年、あれだけチームが期待されていたけど、僕も含めて応えられなかった。故障もあって二軍にも落ましたし。だから、今年はチームの力になるためにも結果を出さないといけないと思っているんです。
――目標の数字の意味は?
T 僕の場合、2010年にポンと出てきて、本塁打王のタイトルを取って。ホンマに納得した成績を残したのは、その1年だけなんです。そこから安定した成績を残せていない。そこを打ち破りたい。2010年を超えたいと思って、キャリアハイを超える数字にしました。現実味のある数字で、自分にプレッシャーをかけたんです。
――目標に打率は挙げていませんが、本塁打、打点を最優先に考えているということですか。
T チームの勝ちに直結する打点が最優先ですね。それも、試合の『ここ』という場面での打点。そういう打点にこだわりたい。ホームランは数が増えれば、打点にもつながるし、それがベストだと思っています。それに、35本(塁打)以上打っていれば、必然的に打率も上がってくると思うので。
――そのために必要なことは。
T 今年でプロ11年目になります。ここまできたら技術も多少あるけど、考え方の部分ですね。
――何に対する考え方ですか。
T 打席内での考え方です。練習では良い形で打てているので、試合で打てないのは、やっぱり考え方に問題があると思う。昔から考え過ぎてしまう性格ではあるんですけど、それがダメなんかな、と。
――打席内での考え方とは?
T いらんこと考えちゃうんですよ・・・
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