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ペナントを熱くする男
楽天・嶋基宏インタビュー「まずは勝つことが一番のファンサービス」

 

下馬評を覆す健闘を見せるチームの中心にはこの男がいる。キャプテン・嶋基宏。扇の要であることは言うまでもないが、今季は九番打者としてバットでも存在感を放っている。今季の楽天は一味違う――。それを証明するシーズンをたくましく戦っている。
取材・構成=富田庸、写真=井田新輔、BBM


簡単にはやられない姿勢を見せること


開幕戦の相手は昨季の日本一チーム・ソフトバンクだった。主砲が抜けたとはいえ、圧倒的な力を誇った昨季の巨大戦力は健在である。圧倒的不利を予想された昨季の最下位チーム・楽天。だが、フタを開けてみると……。他球団のような大砲は存在しないが、とにかくつながるのが2016年の楽天打線。その中で、九番打者を任されている嶋基宏が担う役割は非常に大きい。

――開幕18試合を終えてマルチ安打をマークしたのが4試合。そして安打をマークしたのは半数の9試合になります。打撃好調の印象を受けますが。

嶋 僕は九番打者ですからね。一番の岡島(豪郎)が好調なので(4月14日登録抹消)、何とかいい形でトップにつなげようと。それがいい結果につながっているということですね。キャッチャー目線で見ても、下位打線がつながってしまうと、どうしても上位では止め切れなくなる。打つだけではなく、しっかり四球を選んだり、バントを一発で決めたりとか、与えられた仕事をしっかりこなすのが下位打線だと思っているので。大事な役割を担っていると思っています。

――象徴的だったのがソフトバンクとの開幕戦。四番・ウィーラー選手が四球を選んだことで始まった攻撃は、単打3本ながら、嶋選手も四球を選び、さらにはエラーを絡めて一挙5得点。実に粘りある打者一巡の攻撃を見せました。

嶋 今年の楽天は違うんだぞという印象を、王者・ソフトバンクに与えられたことは大きかったし、次の試合でもリードされる中で8回に何とか2点差を追いついて。結局、引き分けに終わりはしましたけど、簡単にはやられないことを実践できた。負けるにしても、その姿勢を見せ続けることが大事です。

チャンスメークあり、貴重な一打あり。九番・嶋が好調な楽天打線の象徴となっている


――5カード連続負け越しなしでした。ただ、その後は5連敗を喫してしまいましたが……。チームの現状をどうとらえていますか。

嶋 まずはカードの頭でエースの則本がしっかり勝ってくれることが大きいです。ほかのピッチャーも、点は取られてもしっかり試合を作ってくれる。いまは先発投手が頑張ってくれて、いい展開に持ち込める試合が多いですね。

――則本投手は4連勝こそなりませんでしたが、史上初の開幕3連勝&3試合連続2ケタ奪三振を達成しました。絶対的エースのここまでの出来を、捕手としてどう見ていますか。

嶋 三振が欲しいときに、しっかり取れているのが大きいですね。毎試合、ちょっと球数が多いんですけど(苦笑)。1年間を通してこれではもたないと思いますので、どこかで球数を減らす工夫をしなければいけません。則本が投げる試合では、とにかく早めに3点を取ってラクをさせてあげることが大事になる。則本でしっかり勝って、ほかの投手でも簡単には負けないぞというのも示すことができている。そこは大きいと思います。

――則本投手は序盤に苦しみながらも、粘って味方の援護を待つ。そんな粘りも見せているようですが。

嶋 昨季は打たれたら一気にガタガタっと崩れるケースもありましたからね。今季の打線なら3点は取ってくれる力がある。則本にも「1点、2点なら大丈夫だから」と話しているんです。大量失点だけはなくそうと。打線に力があるから、そういった心の余裕も生まれますよね。

――そしてクローザーは3年目の松井裕樹投手です。求められることも増えてくると思いますが、どう見ていますか。

嶋 相手も勉強してくるでしょうし、目も慣れてくる。その中で点を取られることもあるでしょうけど、セーブ機会では失敗なしが一番。それを続けていけば、自然とチームの勝ちもついてきますから。僕は「松井でやられたら仕方ない」というつもりでいますし、本人もそういう気持ちを持ってもらいたいですね。
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