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混迷極めるコリジョンルール問題

 

5月11日の阪神巨人で今季2例目のコリジョンルールが適用された。誰が見てもアウトのタイミングで起こった適用。これによりコリジョンルールが再度注目された。阪神の意見書に対するNPBの回答も、物議をかもすこととなり、NPBは「新しい方向性を検討する」と再回答したが、果たして――。
写真=BBM

5月11日の阪神対巨人戦3回に阪神・原口の捕球とタッチがコリジョンルール適用となったが、このプレーが物議をかもしている


MLBは1年間禁止事項、翌年からルール採用


 MLBではプロ野球よりも1年早く2015年シーズンからコリジョンルールが採用された。しかし、さらにその1年前の14年に禁止事項として、本塁での衝突禁止を入れていた。そのMLBでも、このルールの判定基準が固まるまでは混迷を極めた。その中で一番の問題になったのが、外野からの送球を捕球後、明らかにアウトのタイミングでタッチをしたプレーだった。この場合、走者の走路を防いでいるように見えるプレーはどういうタイミングでもセーフになっていた。これは、5月11日の阪神対巨人(甲子園)でコリジョンルールが適用されたプレーに似ている。

 巨人の攻撃の3回表二死二塁。打者・脇谷亮太の放った中前打の打球に対し、二塁走者の小林誠司が三塁を回りホームへ向かった。それを見た阪神の中堅・大和がホームへ返球。その送球がワンバウンドとなったため、捕手・原口文仁がホーム後方へ下がりながら捕球し、走り込んできた小林誠にタッチ。捕球時点で、誰が見てもアウトのタイミング。もちろん、球審はアウト宣告を行った。これに対し巨人・高橋由伸監督がクロスプレーのビデオ判定を要求。審判団の判断で、原口が走路を妨害したとしてコリジョンルールを適用し「セーフ」へと覆った。

 この判定に金本知憲監督が猛抗議。試合後、不服としてNPBに意見書を提出した。この原口のプレーは、どう見ても公認野球規則6.01(i)の(2)、「捕手が送球を実際に守備しようとして走者の走路をふさぐ結果になった場合(例えば、送球の方向、軌道、バウンドに反応していた場合)に、本項に違反したとみなされない」に該当しそうなプレーだけに、メディアで取り上げられ大きな注目を集めることになる。

 5月6日の西武日本ハム(西武プリンス)の6回表、高橋光成投手のプレーがコリジョンルール適用の第1号。こちらもビデオ判定になったが意見書提出まではいかなかった。ホームでのクロスプレーに対するビデオ判定は今季から始まったものだ。この申し出を行った判定はシーズンの中6度で、そのうちコリジョンルールが適用されたのは先の2件だけ。コリジョンルールは、判定基準があいまいなまま採用されたこともあり、今後も混乱が起こる事態が予想される。

 同月13日、NPBからセ・リーグ杵渕和秀統括と友寄正人審判長が、阪神球団を訪ね、金本監督、谷本修常務取締役に事情を説明。見解は・・・

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