週刊ベースボールONLINE

Webオリジナル
早実・清宮「包囲網」打ち破る!2年目の進化と今夏への思い

昨年はチーム5年ぶりの夏の甲子園出場に貢献した清宮幸太郎。2年連続甲子園出場をかけて注目スラッガーの夏がまもなく始まる(写真=BBM)

 

チームの勝利のため打撃フォームを変更


 節目の一発に、この1年の進化が詰まっていた。6月18日、三重県熊野市で行われた「くまのベースボールフェスタ」に参加した早実の怪物、清宮幸太郎内野手は、地元の木本戦に「3番・一塁」でスタメン出場。初回無死一、二塁で迎えたチャンスで、くまのスタジアムの右翼席へ高校通算50号本塁打を放った。

「少し先っぽだったので入るか分からなかった。回転がかかってよく伸びた。うまくさばけた。(本塁打数は)あんまり気にしていない。今日はたまたま50本ですけど、チームのためにやっていきたい」。高校時代の清原和博松井秀喜中田翔らを超えるハイペースで50号に到達しても、記録には無関心だ。

 左投手の甘く入った直球を捉えた一撃。昨年は右足を高く上げ、豪快にフルスイングするスタイルで、甲子園でも2本塁打を放った。今年に入り、フォーム改良に乗り出した。ユーチューブで1年時の打撃映像をチェックした上で、タイミングの取り方を変えた。

「去年よりもゆっくりタイミング取れている。タイミングの取り方で去年は不安定な部分あった。今年は安定してきている。バットの傾け方と、あとはゆっくりタイミング取るようにした」

 右足はすり足気味にし、目線がブレないようにした。バットを寝かせてから投手の投球に合わせにいくようにした。高校1号を放った昨年4月の関東第一高戦から1年2カ月。「1号の映像をよく見ますけど、よくあれで打てたなと思う。突っ込んでいるし(フォームは)ひどい」と振り返る。相手バッテリーのマークは昨年以上に厳しくなる。厳しいコースを攻められてもチームのために結果を残すために、確率を上げるフォームに変更した。

 今春は秋田、宮崎、長野と招待試合が続いた。
「いろいろなタイプの高校と対戦して、うちの強みと弱みが出た。夏の大会につなげたい。強みはうちの粘り強さ。弱みは勝てそうな試合を落とすこと。いいチームとやらせてもらっていろいろな球場でやって対応力がついたと思う」と、自らの成長にもつなげた。

 夏の大会前、最後の招待試合となった三重遠征は、思い出の地でもあった。三重県は中学1年時に旅行で訪れ、伊勢神宮や熊野古道などパワースポットで力をもらい、東京北砂リトルで世界一になった。「何かの縁なのかもしれない」と、再びパワーをもらった。

 昨年は1年生ながら3番に座り、チームを甲子園に導いた。今年も同じ3番で夏を迎えるが、立場は変わった。4番を打つ1年生の野村大樹については「去年自分も加藤さんはじめとした上級生のみなさんに本当に野球がのびのびやりやすい環境を作って頂いて、そのおかげで本当に甲子園でも本塁打を打ったと思いますし、西東京大会でも10打点ぐらい稼げた。もちろん今年も野村には打ってもらわないと困るので、自分をはじめ、みんなで1年生がやりやすい環境をつくっていきたい」と話す。

 3年生とプレーするのも、この夏が最後。「自分たちがやりやすい環境をつくっていただいて、球場だけじゃなくてプライベートでもたくさん接してくださっているので、通過点ではなくここで燃え尽きたいと思っています」と感謝の気持ちをグラウンドで表現するつもりだ。

 チームは昨秋、今春は2回戦敗退。今夏はノーシードから2年連続の頂点を目指す。7月10日の啓明学園高戦から7試合。和泉実監督は清宮の成長には目を細めながら「うちはチャレンジャー。一戦必勝でやっていく」と力を込める。

 順当に勝ち上がれば、シード校の都立日野高校と5回戦で激突する。昨年は打ち合いの末に辛勝した相手は、リベンジに燃えてくる。そんな清宮包囲網を破るだけの経験を積んできた。「自分たちの野球が出せれば、必ず甲子園に行ける。一戦一戦全力で戦っていきたい」。2年生となった怪物が、再び聖地に向かう。
HOT TOPICS

HOT TOPICS

球界の気になる動きを週刊ベースボール編集部がピックアップ。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング