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“世界の王”の恩師・荒川博氏が死去

 

“世界の王”の恩師・荒川博氏が死去


荒川氏は自宅の一室を改造し、王貞治に打撃指導。「荒川道場」とも言われた。荒川氏は合気道の達人でもあり、王に真剣を振らせて指導するときもあった


「今の僕があるのは荒川さんの指導者としての並々ならぬ情熱があったからこそです。決して一人ではできませんでした。今は感謝の気持ちしかありません」

 2016年12月4日、荒川博氏が心不全のため都内の病院で死去。病院に駆けつけて最期を看取った王貞治ソフトバンク会長が、すぐコメントを発表した。「巨人の若手有望打者・王」に“一本足打法”という翼を与え、「世界の王」に生まれ変わらせた人物である。

 荒川氏は、1930年8月6日、東京浅草に生まれた。早実から早大を経て53年毎日入団。卓越した打撃理論を持ち、1年目は99試合の出場ながら打率.315をマーク。2年目から外野のスタメンに定着した。ただ、当時の荒川氏には葛藤があったという。自身のバッティング理論に、達人であった合気道の考え方を加えた、体の使い方、力の出し方が完成すればホームラン量産も可能なはずなのだが、いかんせん、163センチと小柄。生前、当時を振り返り、「いくら理想のスイングをしてもスタンドまで届かないことがあった。それが面白くなくてね」と話していた。自然と体格に恵まれ、荒川氏の打撃理論と人柄を慕う後輩たちへの指導に興味が向いた。その一人が早実の後輩、天才打者と言われ、通算2314安打を放った榎本喜八だった。

「榎本は素晴らしい才能を持っていた。ただ・・・

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