アメリカではあまり知名度は高くないと言われているWBC。そうなのかなあ、と思っていましたが、プレーする選手たちはそうでもないようで――。
虎の助っ人も、すごく気にかけている大会のようです。投手陣がキャッチボールを始めたとき、1人のグラブだけが異様に目立っていました。それが
ランディ・メッセンジャー投手。今季8年目を迎える大ベテラン助っ人で、
阪神の開幕投手候補です。そのメッセンジャー投手の練習用グラブが新調されていました。昨年までは白と赤の2色だったのですが、今年はネイビー、赤、白(ヒモのみ)の3色となっています。
「これはね、アメリカの国旗の色を使って作ってもらったんだ。なぜかって? 今年はWBCがあるだろ。僕はアメリカ人だからね、日本からチームUSAを応援する意味でこの色にしたんだ」
もちろん、日本でプレーしているだけに、日本にも頑張ってほしいとも願っていますが「やはりチームUSAが優勝してほしいし、しないといけないよ」と語り口調が熱くなってきました。
優勝の確率を聞いてみたところ、「強い国が多いからね、難しい部分はあると思う。それに今回のチームUSAはすごく
ヤングなメンバーだからね、厳しい戦いになると思っている」と苦笑い。
異国の地で戦い続けているメッセンジャー投手にとっては、WBCでのチームUSAの活躍や優勝は、自尊心を確認する大会であるのかもしれません。最後に「若い選手が多いですが、やはりドジャースの(クレイトン・)カーショーは必要ですか?」と尋ねたら「いいアイディアだね」とウインク。
まさにWBC開幕のときを楽しみにしながら、自身も開幕へ向け調整を続けているメッセンジャー投手がそこにいました。
取材・文=椎屋博幸 写真=小山真司