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背番号特集・受け継がれる魂

特集コラム たかが背番号、されど背番号

 


銭湯ではいつも……


 昭和30年代、40年代前半くらいの話だが、特に都会では家風呂がなく、銭湯に通っている人がたくさんいた。下足置き場のカギは、木札。墨文字で、でかでかと数字が書いてある。子どもたちは銭湯が近づくと大抵、駆け足になる。競って狙うのが、「3」、そして埋まっていたら「1」。時々、うるさ型のジイさんがしたり顏で「16」を選んだりする。

 説明するまでもないだろう。3は長嶋茂雄、1は王貞治、16は川上哲治の背番号だ(川上は監督時代の65年から「77」。凝っていた禅のありがたい逸話から選んだのかと思ったら、息子が好きだった米ドラマ『サンセット77』からだとか)。

 巨人は65年からV9がスタート。まるでシナリオがあるかのように、いくら苦戦しても、誰かがケガをしても、最後には必ず優勝、そして日本一に輝いた。3人は、その栄光の時代のメーンキャストだった。

 巨人では、この3つの番号に加え、沢村栄治の「14」、黒沢俊夫の「4」、金田正一の「34」が永久欠番になっている。メジャーの永久欠番は39年、ルー・ゲーリッグの「4」から始まった。背番号3のベーブ・ルースと並ぶヤンキースの人気選手だったが、筋委縮性側索硬化症という難病で思うようにプレーができなくなり、ついに引退を選んだ。39年3月9日、引退試合のスピーチでゲーリッグは万感の思いを胸に「私はこの地上でもっとも幸せな男です」と自分を愛してくれたファン、仲間たち、そして野球に感謝と別れを告げた。ゲーリッグはその後も病との闘いを続けたが、41年、37歳で力尽きた。

 日本の永久欠番もまた、背番号4黒沢の死から始まった。シーズンのさなか・・・

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