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イチロー惜別短期連載

イチロー栄光の軌跡 第一回「若き日の挫折、そしてブレークイヤー」

 

その男はわれわれへの“ギフト”だった。突然、現れ、日本球界の常識を次々覆した。世界の頂点に立ったケタ外れの安打記録だけではない。攻守走すべてにスピードとセンスにあふれ、多くのファンを魅了した。今回から短期集中連載として、その栄光の歴史を振り返ってみたい。
写真=BBM、GettyImages


「現役生活に終止符を打ち、引退することにしました」

 涙もなく、穏やかな笑顔で淡々と。もちろん、会見時には、これがマリナーズとの契約のラストゲームであることは分かっていた。そして、それが事実上の引退であることも。

 ただ、もしかしたら含みを持たせ、「引退」の二文字は明言しないのではないか、と思っていた……。

 3月21日、アスレチック戦の後、深夜の引退会見は1時間23分に及んだ。決断のタイミングについて聞かれ、「キャンプ終盤ですね。日本に戻ってくる何日前ですかね。終盤に入ったときです。もともと日本でプレーする、東京ドームでプレーするというのが契約上の予定でもあったんですけど、結果を出せず、それを覆すことができなかったということですね」と答えた。

 これまで“最低でも50歳まで”と語り、「有言不実行の男になってしまいましたが」と言っていたが、たとえば“続ける”ことだけを優先すれば、日本球界でも引く手あまただったはずだ。しかし、聞かれると・・・

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