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平成バファローズ&イーグルスを語る

2球団で手にした喜び 礒部公一インタビュー 「2001年は何点リードされていても“いける!”という空気があった」

 

平成の時代に2球団を渡り歩いた。“いてまえ打線”の一翼を担い、見せた快進撃。新球団に移り、極度の不振の中で迎えたホーム開幕戦。中身はまったく異質のものだが、いずれも磯部公一氏の胸に深く刻まれる喜びであることに変わりはない。
取材・構成=富田庸 写真=BBM

2001年、史上初となる北川の劇的弾で優勝が決定。磯部らチームメートがホームで出迎えた


釣り銭なしの劇的弾


 近鉄が3度目のリーグ制覇を達成したのが1989年。平成最初のパ・リーグ覇者となった。だがそこから長く優勝から遠ざかる。次の歓喜が訪れるのは12年後の2001年のことだ。プロ野球史上でドラマチックな優勝決定の一つと言われている「9.26」。磯部は主力選手としてその現場に立ち会っていた。

 オリックス戦前の時点ですでにマジック1。周囲も「もう近鉄で決まりだろう」という空気でした。大阪ドームでのホームゲームは残っていたんですけど、それは10月に入ってからの1試合のみ。この日に決めないと、おそらく本拠地で歓喜を味わうことができないという状況です。やはり、ここで決めたいという気持ちでした。

 試合はリードされて終盤に入り、8回に1点を返したんですけど、9回にホームランを打たれて2対5と差を広げられてしまいます。その裏、相手はクローザーの大久保(大久保勝信)を投入。まだベンチのムードは芳しくなかった。ただ、逆転を信じて応援してくれるファンの方がたくさんいる。なんとかしないといけない、というのが選手たちの思いでした。

 8回の攻撃は五番の僕で終わっていますから、この回の先頭は六番の吉岡(吉岡雄二)さん。ヒットで出塁すると、次の川口(川口憲史)が右翼線に二塁打を打ちました。そして代打・益田(益田大介)が四球で出塁。これで無死満塁、代打は北川(北川博敏)さんです。ベンチは一気に「逆転劇もあるぞ!」というムードに。ただ、本塁打までは……。そんな矢先に飛び出したあの一発だったんです。

 打った瞬間、これはもうホームランだと確信しました。釣り銭なしの6対5の逆転勝利。「やった!」と「ホントにやっちゃったの?」という2つの思いがごちゃまぜになりながら、ベンチを飛び出したことを覚えています。ただ、その途中で・・・

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