期待のホープに焦点を当てる新連載インタビュー。2回目は正捕手獲りに向けて開幕から奮闘を続ける中日の加藤匠馬だ。“甲斐キャノン”以上とも言われる強肩を武器に、ドラゴンズの長年の悩みを解決する存在となるかもしれない。 取材・構成=坂本匠、写真=榎本郁也、松村真行 “正捕手候補”に危機感。19年はラストチャンス
――5カード14試合を消化し、ちょうど同リーグの全チームと対戦したことになります。プロ5年目の開幕は過去4シーズンとはまったく別の想いがあったのではないですか。
加藤 まず、ずっと目標にしていた開幕一軍を5年目で初めて達成できて、しかも開幕戦はスタメンマスクですからね。それから現在までの状況(14試合中11試合に出場)は、目指してきたものとはいえ、正直、信じられないという気持ちが初めのうちはありました。実は昨季、1度も一軍に上がれずに1年が終わってしまっていたので、これで終わりかなと、クビを覚悟していたんです。過去4シーズンでも合わせて5試合しか一軍で試合に出ていないですし、大卒(青山学院大)で年齢的にも怪しいな、と思っていました。
――
森繁和監督から
与田剛監督へと変わり、指導体制も大きく変わったことで、現有戦力の把握を目的に戦力の整理が一時凍結されました。
加藤 そういうこともあって、何とか生き残ることができたと思っています。ただ、だからこそ覚悟を決めて、昨秋のキャンプ、オフの自主トレ、春のキャンプ、オープン戦と、最後のつもりで……もちろん、これまでも1年契約ですから、そうではあったんですが、それ以上に自分自身を追い込んで、今季のチャンスを逃したら本当に後がないつもりで取り組んできました。そういう意味では、開幕一軍、開幕戦スタメンマスクは本当にうれしかったのですが……でも、さすがに緊張しました。
――143試合分の1試合とはいえ、開幕戦は特別でしたか。
加藤 僕はどちらかというと二軍の試合でも緊張するタイプなんですが、開幕の雰囲気は、ほかのゲームと比べるとやはり独特なものがありました。ビジターでの開幕(対
DeNA、横浜)で、相手の応援の熱がすごくて、ヒット一本でもブワッと沸く。少しでも気を抜いたら飲まれそうなくらいの空気感を感じました。そもそも一軍ではほとんど試合に出ていなかったので、こういう経験は初めてでしたが、一軍は違うな、と思うと同時に、すごくいい経験をさせてもらえたと感じています。
――その後、ここまで14試合中、10試合で先発マスクを任されています。
加藤 僕にとっては毎日が勉強です。初めてのことばかりですので、早く自分のものにしていかないと。もちろん、ここまで出続けるのは初めてで、体が感じる疲労も違います。何より・・・
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