兵庫・小野高、慶大で活躍し、東京六大学リーグ戦では早大・和田毅(ソフトバンク)と真剣勝負を演じた元フジテレビアナウンサーで現スポーツアンカーの田中大貴は、1980年生まれの「松坂世代」の1人。そんな野球人・田中が、同年代の選手たちをプロ野球現場の最前線で取材した至極のエピソードを、コラムにして綴る連載第17回です。 龍谷大時代の杉山直久。関西六大学リーグ通算15勝4敗、防御率1.19の好成績を残した
出会いとチャンス
「森脇(
森脇浩司、現福岡工大特別コーチ)さんのおかげかな。
オリックスに拾ってもらえたのは。出会いを大切にしてくれている方に感謝したい」
現在、オリックス・バファローズでマネジャーを務める杉山直久が感謝の想いを教えてくれました。「杉ちゃん、
阪神を引退して、オリックスで仕事をすることになったのはどうして?」と僕が聞いたことに対する答えでした。
阪神タイガースに9年間在籍し、独立リーグ(BCL)の富山でプレー(選手兼任コーチ)、その後、中学生チームの指導などを経て、プロ野球界に戻ってきました。現役時代はオリックス所属の選手ではなかった杉山が、どういう経緯でオリックスのスタッフとして声が掛かったのか? 引退後、初めて聞きました。
「これは間違いなく森脇さん。森脇さんだよね」。杉山は何度も「森脇さん」という言葉を口にしました。彼の言う「森脇さん」とは森脇浩司氏のこと。現役時代は近鉄バファローズ、
広島東洋カープなどで守備のスペシャリストとして活躍し、引退後は福岡ソフトバンクホークスで
王貞治監督の右腕として指導業に専念。2015年にはオリックスの監督にも就いた根っからの野球人です。
「よく行くご飯屋さんがたまたま一緒だった。神戸のお店。森脇さんもよく行っていたみたいで。引退してから働く場所を探していたら、そのお店の店長さんが森脇さんに『杉山君が就職先を探している』と伝えてくれていて。ある日、森脇さんから連絡をいただいたんです。ほんまにうれしかった」
杉山と森脇氏は、これまで野球の現場での接点はほとんどなかったということですが、神戸のお店をきっかけに話は進んでいきます。
「森脇さんがオリックスの監督に就かれるとき、『俺の・・・
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