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高校野球不滅の名勝負 伝説の夏回顧

2006年夏の甲子園回顧 斎藤佑樹&田中将大を筆頭にスターが勢揃い。記憶に残る決勝で高校野球人気が再上昇!

 

決勝延長・再試合の末、早実の優勝で幕を閉じた第88回大会。決勝を中心に、戦いを振り返ってみたい。
写真=BBM ※記録は発刊時の2014年現在

決勝は延長15回を終えて決着つかず。再試合が決まると、観客は立ち上がって両チーム選手に拍手を送った。甲子園史に長く残る名シーンだ


一戦ごとに強さ増した早実ナインと斎藤佑樹


 決勝の延長・再試合は、第51回大会(1969年)の松山商(愛媛)対三沢(青森)以来37年ぶり。斎藤佑樹田中将大の熱のこもった投げ合い、さらには首都・東京の古豪と北海道が生んだ“新時代の王者”のぶつかり合いという構図も手伝い、ファンの記億に深く刻まれる大会になった。

 決勝は2試合とも観衆5万で、大会通じての動員は85万人を超えた。85万超えは、横浜・松坂大輔フィーバーに沸いた第80回、1998年以来8年ぶり。前述の2投手のほかにも大嶺祐太(八重山商工)、堂上直倫(愛工大名電)、鮫島哲新(鹿児島工)、2年生に中田翔(大阪桐蔭)、佐藤由規(仙台育英)らスターが存在し、彼らが熱のこもった勝負を演じたことで、あらためて高校野球の索晴らしさを世間にアピールした。初めて頂点に立った早実は、大会前は優勝候補に挙げられるチームではなかった。初戦(1回戦)で鶴崎工を13対1で下して10年ぶりの「夏1勝」をもぎ取ると、続く大阪桐蔭戦は11対2の圧勝で、荒木大輔を擁した82年以来24年ぶりの3回戦進出。斎藤は浪速の怪物・中田から3三振を奪い、この試合を機に「早実」と「斎藤佑樹」の存在感が加速度的に高まっていく。

 3回戦で福井商を下した早実は、準々決勝では日大山形に逆転勝ち。準決勝はほぽ完ぺきな試合運びで鹿児島工を退け、26年ぶりの決勝進出を決める。一方、夏3連覇がかかっていた駒大苫小牧は、決勝に進むまで苦戦の連続だった。

 初戦(2回戦)の南陽工戦、田中は甲子園自己最多の14三振を奪いながらも7安打6四球の乱調。3回戦の青森山田戦は、3回までに1対6と差をつけられながら8回に追いつき、9回に勝ち越し点を奪われるもその裏に逆転と、苦しい展開を強いられながらも勝利をもぎ取った。準々決勝は東洋大姫路に1点差の逆転勝ち。準決勝も智弁和歌山を相手に試合前半は1点差のせめぎ合いと、冷や汗の連続だった。

 苦戦の最大の理由は、田中の体調不良だ。大会前から下痢等に苦しんでいたが、開会式のテレビ中継で大映しになった田中の苦しそうな形相は・・・

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