2019年ドラフトは、3投手が中心に回っていくと言われている。高校生2人と大学生1人。12球団同時入札である1位指名で、この3選手に集中するのでは？　と予想されている。「BIG3」の球歴とその魅力を探っていく。
取材・文＝岡本朋祐、写真＝早浪章弘、高原由佳 2019ドラフト候補選手名鑑号より転載

甲子園準Vの余波

　令和の怪物・佐々木朗希(大船渡高)との「差」を明確に見せつける2度目の国際舞台となった。

　昨年のU-18アジア選手権(宮崎)に続く高校日本代表は、奥川恭伸ただ一人。1学年先輩の大阪桐蔭高・根尾昂(現中日)とは同部屋で、心技体におけるさまざまな分野を学んだ。また、金足農高・吉田輝星(現日本ハム)からはエースの背中を見た。唯一の経験者として、今年のU-18W杯(韓国・機張)では副将の大役。高校日本代表を率いる永田裕治監督は当初、キャプテンを託す意向も持つほど、信頼を寄せていたが、投手という負担を考慮して回避した。奥川も侍ジャパンをけん引する意欲は満々だったが、実は不安を抱えていた。どんなときも、謙虚で慎重派。さらに、拍車がかかっていたのも無理もない。

　2年春から4季連続となった今夏の甲子園では、24年ぶり2度目の決勝進出。北陸勢初の全国制覇はならなかったが、154キロ右腕の快投は感動を呼んだ。ハイライトは智弁和歌山との3回戦。タイブレーク(同点の場合、13回から無死一、二塁の継続打順)にもつれた大熱戦で、延長14回、165球を投げ切り23奪三振をマークした(サヨナラ3ランで星稜高が勝利)。翌日の準々決勝は登板回避も、中2日の準決勝(対中京学院大中京高)は7回無失点、中1日で先発した履正社高との決勝は9回5失点で敗北。準優勝に終わったが、最後までマウンドを守っている。

　あの大観衆ではアドレナリン全開。口には一切出さなかった疲労も、大会が終わると、想像以上の体の重さに襲われていたという。決勝は8月22日。翌23日に故郷・石川に約3週間ぶりに凱旋すると・・・