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田中大貴のMonthly Column

田中大貴コラム 『松坂世代』あの夏から21年目の延長戦 「加藤健は松坂世代が誇る超大型捕手」

 

兵庫・小野高、慶大で活躍し、東京六大学リーグ戦では早大・和田毅(ソフトバンク)と真剣勝負を演じた元フジテレビアナウンサーで現スポーツアンカーの田中大貴は、1980年生まれの「松坂世代」の1人。そんな野球人・田中が、同年代の選手たちをプロ野球現場の最前線で取材した至極のエピソードを、コラムにして綴る連載第19回です。

新発田農高では高校通算15本塁打。強打の大型捕手は大きな注目を集めた


影の立役者


 9月21日の読売ジャイアンツの優勝シーンを見ながら、ある男のことを思い出していました。

 控えでありながら、数少ない出場数でも、心の底からチームの優勝を喜び、満面の笑みで活躍した選手をベンチで出迎え、称え、そしてビールかけでは敬意の念の裏返しとして後輩たちからとてつもなく大量のビールを浴びせられる選手でした。

 加藤健、39歳。

 捕手として巨人一筋18年。3年前に引退し、現在はBCリーグの新潟アルビレックス・ベースボール・クラブで球団社長補佐(※今季より非常勤で総合コーチも務める)として活躍している松坂世代の一人です。

 ジャイアンツ時代、一軍での出場数は185試合。プロ生活の年数で割ると年間の平均出場試合数は10試合ほど。それでも常に表情は朗らかで、プレー態度は懸命でした。メディアの人間をはじめ誰に対しても常に同じ対応で、懇切丁寧。投手陣からの信頼、そして先輩後輩を問わず愛される男、現役時代の加藤にはそんな印象を持っています。

 陰の立役者といってもいいのではないでしょうか。自分を犠牲にしてチームの勝利を最優先する。ほかを生かす。第2次原政権時代、幾度となく優勝を記録する中で、この男の存在は貴重でした。阿部慎之助選手の全盛期、その後ろで献身的に支え、いつ来るかというそのときまで常に万全の状態で控えていました。

 優勝の立役者は、何も表に出ている選手だけではない。それを教えてくれる選手だったと思います。だからこそ今回のジャイアンツのリーグ優勝シーンを見て、カトケンのことを思い出しました。

 なぜ、あれだけ我慢強く、そしてあれだけ長く、プレーすることができたのか。率直に聞いてみました。

「長くプロ生活を送れたのは・・・

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