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追悼特集

巨人・金田正一×歌手・美空ひばり 再録インタビュー[1968年1月8日新春特大号] 愛と涙の芸道20年

 

ここでは本誌に掲載された対談を再録する。まずは異色対談。金田が司会で、ゲストは歌謡界の女王・美空ひばりさん(89年死去)だ。美空さんは、金田を「おにいちゃん」と慕い、金田もまた、妹のようにかわいがった。


金田 よく励ましを受けたよ、ワシの悪いときにな。いいときはそっぽ向いているけど、悪いときによう励ましてくれたね。

美空 おにいちゃんも同じなの。親子が何か悩んでいるようなときは、必ず電話をかけて飛んできてくれる。野球界と芸能界と、たいへん違っているようでも実際はすごく似ているでしょう。生きていく信念というものがね。だからおにいちゃんがしょぼんとしてたり、体がどうのこうのと悩んでいると、目標を失ったような感じでね。

 お嬢というのは、誰を目的にしていますかってよく聞かれるの。どの歌い手でもだれだれって芸能人の名前を言いますよね。でも、わたしはそれがなかったんです。でも、いつも言うのは、おにいちゃんって素晴らしい人だ、私はあんなふうになりたいって言ってる。

 そんなとき、おにいちゃんが照れても、私は素直にそう思っているというのよ。おにいちゃんがバテちゃうと目標がなくなるんだから頑張ってね、ってよく電話したり、電報打ったりするの。おにいちゃんが元気で成績のいいときは、あまり電話かけたり電報打ったりしないの。おにいちゃんのやり方と一緒なの。

金田 僕はね、お嬢の歌を唄っている姿なり、またいまこうして話をしている姿によって、野球というものをやり抜くんだ、勝たにゃいかんという、新たなファイトがわいてるのよ。ほんとは、ここでしぼみこんでしまえば、もう終わるような野球人生やけどね。ここで新たなにファイトを燃やして、突っ張って突っ張って、どこまでもこのイメージをこわさないように、これをやっていこうという気持ちがある。まだまだ肉体の続く限り、ダーッと自分を出していくよ。ワシはお嬢を尊敬してるからね。

美空 えーっ。

金田 お嬢は日本で一番の女や。
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