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日本一監督CLOSE UP

ソフトバンク・工藤公康監督 勝利への最善策 「負けたら自分が責任を取ればいい」

 

ポストシーズンのソフトバンクは強かった。両リーグの覇者・西武巨人を圧倒して3年連続の日本一に輝いた。しかし、栄光への道の途中はアクシデントの連続。苦しい時期を乗り越えて、リーグ2位の悔しさから前を向いて、チームを高みに押し上げた指揮官の物語──。
文=田尻耕太郎(スポーツライター)、写真=BBM ※表記は2019年時点


予想外のチーム状況


 ソフトバンクは毎年のスローガン選定に監督自らが加わる。2019年は「奪Sh!」。工藤公康監督が「奪い返す。強い思いを込めました」と熱っぽく語った今年のシーズン前。さらに「奪」の上部分がタカの頭で表現されているデザインについても「私がアレンジしました。タカの目は上を向いたほうがいいんじゃないかと。ちょっと変えさせていただきました」とこだわりを自ら明かしていた。

 3年連続日本一を目指すのは当然として、やはり昨季2位で終えたのが納得いくはずがなかった。悔しさはオフの間、一度だって消えたことはない。

 また、このスローガンにはほかの意味も込められた。言葉の響きから走塁改革をチームに求めたのは容易に想像がついたが、各選手がレギュラーないしは、一軍の座を“奪う”と、チーム内の競争心をあおった。前年は春季キャンプの前に野手レギュラーのうち6人、先発ローテーション6枠のうち5人をあえて公表。主力には自覚を促すとともに若手には競争意識を再認識させようとしたが、今季はそれを明言せずにチーム内の競争を促したのだ。

 しかし──「正直、予想もしていなかったことが起きたシーズンでした」。

 開幕カードのソフトバンクは強かった。昨季覇者の西武相手に3連勝。特に柳田悠岐が2戦目に満塁本塁打、3戦目に逆転アーチの大活躍。スローガンのごとく積極的な盗塁も仕掛けて「三冠王どころか盗塁王を加えた四冠王も夢じゃない」という話題が出るほどだった。

 開幕7試合目までは不動のオーダーで戦った。かつて工藤監督が在籍した黄金時代の西武がそうだったように、メンバーはできるだけ固定したいというのが理想だ。だが、その構想は4月上旬にしてもろくも崩れる。

 悲劇の始まりは・・・

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