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特別寄稿

坂上俊次(中国放送アナウンサー)特別寄稿 広島、4連覇ならず──。それでも明日へ、戦いは続く

 

2019年は広島にとって、4連覇をかけたシーズンだった。最終的には4位で、連覇は途切れた。ただ、順位という数字に表れるものがすべてではない。カープはこの年も、いつものように、備え、そして育てていた。昨年は結果につながらなかったが、そのチームづくりがブレることはない。明日へ向かって、また新たな挑戦が始まる。「Veryカープ!」で地元ファンにはおなじみの中国放送アナウンサー・坂上俊次氏が見た、2019年の、そして2020年へ向かう、カープの姿とは。

今季はこのシーンが見られるか?/画=横山英史


 勝ち続けることは容易ではない。故障、移籍、選手のピーク、相手チームからの研究。戦いぶりが変動する要素は数限りない。そのすべてを、想定内に収めたい。そのための努力は怠らなかった。

 2019年春季キャンプ、カープ首脳陣は、多くの選手に複数ポジションを担わせた。目玉は、天才的な打撃センスを誇りながら内野守備に課題もあった西川龍馬の外野挑戦だった。「打率3割3分、20本塁打の可能性もある」(東出輝裕打撃コーチ)。この言葉はリップサービスではなかった。前年は101安打。17失策のサード守備の負担を減らせば持ち前のバットコントロールに磨きがかかるというものである。FA移籍で丸佳浩が抜けたタイミングである。「丸さんも抜けるので、そこは自分なりにチャンスと思って必死にやりたい。出られるところで出たい。チャンスをつかみたい」。

 高いモチベーションと選手の特性、そこにチーム事情も加味した外野挑戦であった。ただ、見逃せないポイントがある。センターには、前年、初めて規定打席に到達した伸び盛りの野間峻祥がいたことである。チームトップクラスのスピードと守備力を考えれば、そこに近い年代の好選手を回す緊急性はない。

 ここが、緒方孝市前監督が常々唱えていた「競争」なのである。ある種、これがカープの伝統でもあろう。レギュラー選手も安住はできない。同じポジションに次々と挑戦者が現れる。複数ポジションは、単なる、戦い方のオプションではなかった。チームに刺激を与える材料でもあったのだ。その布石をキャンプから打っていた。

 起こりうることすべてを、想定内に。そうしないと球団史上初の4連覇は見えてこないことを、首脳陣は・・・

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