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スカウトが明かすドラ1の舞台裏

ヤクルトスカウト・橿渕聡氏が明かす奥川恭伸(星稜高→ヤクルト) 絶対的エースの必要性 「リスクを背負わないと、良いチームは作れない」

 

2019年の高校球児における経験値ではNO.1。10月17日のドラフトでは3球団の重複を経て、燕軍団の一員となった。11月25日に背番号は「11」に決まり、最高条件(契約金1億円、年俸1600万円、出来高5000万円、金額は推定)でサイン。球団からの期待の大きさが、数字にも表れている。

甲子園には2年夏から3年夏まで4季連続で出場。準優勝に輝いた今夏の3回戦[対智弁和歌山高]での延長14回、165球、23奪三振の快投は記憶に新しい/写真=石井愛子


 ヤクルトには、2017年から高卒の新入団選手を対象とした「育成ガイドライン」がある。原則は「じっくり」「無理をさせない」が基本方針。ただし、奥川恭伸に関しては「特例」を運用するかもしれない。橿渕聡編成部スカウトグループデスクは言う。

「ボール自体はすでに一軍レベル。高校生ですが即戦力に近い。1999年の松坂(松坂大輔、横浜高―西武、16勝)、2007年のマー君(田中将大、駒大苫小牧高―楽天、11勝)のように1年目から活躍する可能性がある」

 だが、焦ってはいけない。実情を把握しておくため、橿渕デスクはドラフトから約3週間後の11月6日、石川県金沢市内の星稜高へと足を延ばした。担当の阿部健太スカウトからは逐一、報告を聞いていたとはいえ、奥川が3年間育った練習環境を、自身の目でも確認しておきかったからだ。

「ガイドラインに乗っけるのか、一つの判断材料にしたかったんです。周囲の人からも話を聞いて、情報収集。われわれとしては、例えば1月の新人合同自主トレまでとか、2月1日の春季キャンプインを照準にとか、逆算だけはしたくなかった。あくまでも、プロ野球人生のスタートとして、奥川投手にとって、一番良い形を模索するのが目的です。高校・大学・社会人と、どんなに優れた選手でも、プロに入ると誰もが・・・

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